展示室U



旧日本海軍 商船改装航空母艦 海鷹1944

− 2009年10月04日完成 −
<キット>
 
空母「海鷹」の1/700キットは、シーウェイ特シリーズのフジミより、2009年に発売されました。それまでは、レジンキットとしてピットロードから発売されていたマイナー艦です。改装前の優美な客船「あるぜんちな丸」と同型艦「ぶらじる丸」も後日発売されました。空母としては小型過ぎたため、航空機の運用が難しく、また、搭載機数も少ないために航空機による攻撃力も小さかったことから、実艦の戦歴はあまり有名ではありません。「海鷹」の詳細は不明な部分が多く、特に大戦後期の姿は不明点が多いようです。
 キットのモールドは繊細で控えめです。キットに付属しているエッチングパーツを必ず使用するようになっているキットで、個人的には飛行甲板下の艦橋部分のエッチング化に疑問がありますが、この部分を除けばエッチングを効果的に使用しているキットと思います。

<作例>
 倒立式無線塔のみ追加工作を行っていますが、そのほかは素組みです。また、25o機銃のみPT武装パーツに交換しています。
 迷彩は、フリーハンドによる筆塗りです。使用色は、船体側面にGSIクレオスの空母迷彩セットを使用。飛行甲板は濃緑色、草色、舷外21号緑色を使っています。飛行甲板の白線はエアブラシにより塗装。艦首の風向指示はタミヤの「翔鶴」のものを加工して使いました。

<感想>
 組み立ては比較的簡単なキットですが、パーツの合いが悪く苦労させられます。
 平形甲板空母ということで非常に地味なアイテムですが、その分キットとしては大変貴重です。最近、飛行甲板の白線デカールを付属したキットが発売されましたが、できれば初めからデカール付属として欲しかったです。



米海軍 リヴァモア級駆逐艦 DD-429リヴァモア1940

− 2009年8月23日完成 −
<キット>
 
米海軍リヴァモア級駆逐艦の1/700キットは、スカイウェーブWシリーズのピットロードより、2002年頃に発売されています。戦前の米海軍駆逐艦のプラキットは、あまり発売されていないので貴重なキットになります。個人的には今後、1本煙突のシムス級あたりを発売してほしいところですね。第一煙突と第二煙突のモールドの差が気になるところですね。また、艦番号のデカールは少々大きいですね・・・。

<作例>
 少しだけ追加工作を行っていますが、ほぼ素組みです。

<感想>
 組み立ては比較的簡単なキットですが、一部パーツの干渉部分があります。
 しかし、キットアイテムとしては大変貴重であり、大戦直前の米駆逐艦を容易に再現できる好キットだと思います。



海上自衛隊 あたご型イージスミサイル護衛艦 DDG-177あたご2007

− 2009年8月02日完成 −
<キット>
 
海上自衛隊護衛艦「DDG-177あたご」の1/700キットは、スカイウェーブJシリーズのピットロードより、2007年12月に発売されています。発売直後に実艦が民間漁船と衝突事故を起こしてしまい、人気低迷に繋がった?ものと推察します。ウォーターラインシリーズでは、本型の発売がありません。ハセガワあたりから発売される気がしますが、どうなんでしょうか?やはり、事故によるイメージダウンによって、発売されないのかな?
 キットは船体と上部構造物が一体整形となっており、パーツ割は複雑ではありません。それでも、パーツあわせがきっちりしないため、仮組みによる念入りな基本工作が必要となります。

<作例>
 ほぼ素組みですが、追加工作を行っています。艦橋部分のパーツの接着面ズレを修正するのは結構手間がかかります。水平面の面だしには苦労させられました。ホイップアンテナは真鍮線0.2oおよび0.3oにて再現しています。

<感想>
 組み立ては簡単なキットですが、華麗に作ろうと考えると結構修正箇所が多いキットです。付属デカールとキットモールドが合わない部分も不満なキットです。



旧日本海軍 吹雪型(特T型)駆逐艦 薄雲1944

− 2009年6月25日完成 −
<キット>
 
特T型駆逐艦は、ウォーターラインシリーズのタミヤよりネームシップの「吹雪」と対空兵装強化工事後の「初雪」が発売されています。ご存知の方々も多いと思いますが、4番艦「初雪」は対空兵装強化を実施する前に戦没していますので、架空状態となります。作例の「薄雲」は特T型の最終戦没艦で対空兵装強化が行われた艦と言われていますが、キット化はされていません。
 キットの発売は35年以上前であり、基本的な形状はシャープですが、如何せんモールドがあっさりしすぎている部分に古さを感じます。発売当時は驚かれたほどのシャープなキットだったようですが、最近の考証では数箇所の誤りがあるようで、こだわるのであれば修正する必要があります。また、金型の疲弊より整形不良部分も目だってきており、修正するのに手間取る感じを強く受けてしまいます。


<作例>

 作例は基本部分はキットのままで、多くの箇所をプラ材とPT製武装に変更しました。また、できる限りWLのリニューアルパーツも併用しています。舷外消磁電路はプラ角棒で再現し、舷窓はピンバイスで再現し、また、プラ板をポンチで抜いて蓋を再現した箇所もあります。

<感想>
 このくらい手を加えると、結構映えます。甲型に比べると古い艦容の特T型ですが、日本駆逐艦の技術レベルを飛躍的に向上させた艦容は重みがありますね。



旧日本海軍 二等巡洋艦 夕張1944

− 2009年5月10日完成 −
<キット>
 
軽巡艦「夕張」は、ウォーターラインシリーズのタミヤより、対空兵装強化工事後の1944年仕様が発売されています。「夕張」は同型艦を持たないため、販売には苦労されたものと推察します。開発当時の考証では問題なかったようですが、最近では数箇所の誤りがあるようで、こだわるのであれば修正する必要があります。但し、キットはタミヤ製品に共通する繊細でシャープな整形と組み立て安さを併せ持つもので、素組みならば簡単に楽しく製作できるものと思います。

<作例>

 
作例はほぼ素組みですが、最近の考証に合わせて機銃座を変更しています。また、最上甲板もリノリウム張りとし、ボートダビットは駆逐艦で見られるラフィング型に変更しました。マストはヤードのみプラ丸棒に変更です。舷外消磁電路はプラ角棒で再現し、舷窓はピンバイスで再現しています。

<感想>
 日本の巡洋艦の近代化に大きく貢献した艦なので、設計的に古い部分と斬新な部分が混在して面白いですね。



旧日本海軍 大井型重雷装艦 北上1941

− 2009年4月18日完成 −
<キット>
 
重雷装艦「北上」は、マイナーな艦を積極的にプラキット化しているピットロードから僚艦「大井」とともに発売されています。「北上」は元々ウォーターラインシリーズ(WL)を構成するタミヤより発売されている球磨型軽巡の4番艦にあたり、大戦直前にキットの姿に改装されました。その後、回天輸送艦へ再改装されて終戦時も残存した艦です。キットでは、僚艦「大井」との差別化を狙って第2、第3煙突頂部が短い(艦の復元性能向上のためと改装されたと言われています)実艦を忠実に再現しています。重雷装艦「北上」と「大井」の姿は不明な点も多く、本キットは一般には「全体的に良くまとまっている」との評価を受けています。最近では魚雷発射管のシールド形状が簡易的なフルシールド?であった説が有力となりました。キットで再現されているハーフシールドの形状は竣工時の姿と言われています。

<作例>

 
作例はほぼ素組みです。キットの指示では艦橋後部張り出しと短艇収容甲板は鉄張り表現ですが、説明書にも解説されているとおり、元乗員の方の意見を反映させ、リノリウム甲板としました。個人的にもリノリウム張りと考えます。舷外消磁電路はプラ角棒で再現し、舷窓はピンバイスでさらっています。

<感想>
 特異的な艦容なので、見栄えがします。出来ることならば、最終時の回天搭載母艦の姿をプラキット化してもらえないでしょうか・・・。



旧日本海軍 金剛型戦艦 榛名1944

− 2009年4月6日完成 −
<キット>
 
ウォーターラインシリーズ(WL)を構成するハセガワより1994年に発売されたキットです。当時、それまでシリーズを構成していたフジミが1992年にシリーズから脱退し、フジミ製キットがシリーズより欠落してしまいました。そこで、新たにハセガワによって開発されたキットです。船体は金剛型4隻共通になっており、上部構造物や煙突などのパーツを個艦ごとに変更して違いを出していますが、船体は錨鎖甲板の表現が不良で、艦橋構造物も実艦に似ている程度であり、煙突周辺のトラス構造やケーシリング天井の形状も不良、後部航空機作業甲板も不良でシリーズの戦艦中最も一般的評価が悪いキットとなっています。これは、他の戦艦群がこのキットの後にリニューアルされているため、金剛型戦艦がシリーズの戦艦の中で一番古いキットであることにも起因しています。しかし、シリーズの旧作となるフジミのキットよりは実艦に忠実であったようで、艦橋構造物に「榛名」専用パーツを盛り込み、後部の司令室を再現したり、後部艦橋構造物なども専用パーツとなっています。

<作例>

 
作例は巷で言われる”ニコイチ”を実施しました。ハセガワのキットの船体に、ニチモのキットの上部構造物を融合する工作です。艦橋部分の接合箇所の修正は結構大変でしたが、そのほかはそれほど大変な作業ではありませんでした。機銃類と主砲はピットロードの武装パーツセットを使用。艦橋下部の最上甲板はキットでは木甲板モールドがないので、伸ばしランナーにて再現しました。航空機作業甲板のリノリウム面積も縮小し、変更後の木張りは伸ばしランナーにて再現しています。艦橋背面のガーターはハセガワのパーツを加工して取り付けました。艦載機は零式三座水偵を1機乗せました。舷外消磁電路はプラ角棒で再現し、舷窓は多少埋めています。

<感想>
 厳密にいうとニチモのパーツは大きさが違うのでしょうが、出来上がりからはそれほど違和感はありません。艦橋構造物が重圧でとてもカッコイイ「榛名」に変身します。苦労した甲斐があったというものです。



旧日本海軍 択捉型海防艦 択捉1943,笠戸1944

− 2009年3月28日完成 −
<キット>
 海防艦の択捉型はピットロードからプラキットとして発売されています。ピットロードのスカイウェーブシリーズで旧日本海軍艦艇の開発としては最初のものです。この後・・・駆逐艦⇒巡洋艦⇒空母と旧日本海軍艦艇は大型のものを開発していきます。現在では、外国艦艇と大型の旧日本海軍艦艇は中国のトランペッターに開発依頼をしています。しかし、旧日本海軍の駆逐艦と海上自衛隊艦艇は国内開発を続けており、本キットも国内開発のものです。シリーズは価格が高めのものでしたが、最近、本家のウォーターラインシリーズも値上げを行い、特にタミヤ製のキットとの価格差は縮まりました。

<作例>

 作例はほぼ素組みです。・・・と言っても、キットの説明書指示通りに製作しました。ネームシップの「択捉」は前部マストのみ変更しました。キットの指示では後期艦の前部マスト形状で22号電探のみ未搭載としたものです。これでは、少々不満なので、プラ棒にて追加工作しました。後期艦の「笠戸」は後部兵員室両舷の機銃座をキットの説明書の改造指示に従い製作。舷側の窓をピンバイスでさらって表現する作業は前期艦の「択捉」と後期艦「笠戸」とも実施しました。

<感想>
 非常に小型の艦ですが、PT特有のしっかりした詳細なモールドで存在感が強く出ており、個人的には好きなキットです。出来ることならば、未発売の海防艦である占守型と御蔵型をプラキット化してもらえないでしょうか・・・。



旧日本海軍 瑞鳳型航空母艦 祥鳳1942

− 2009年1月25日完成 −
<キット>
 ウォーターラインシリーズ(WL)を構成するハセガワより1999年に発売されたキットです。同世代キットとしてタミヤの「信濃」とアオシマの長門型などがあります。前年にはタミヤの大和型がリニューアルされ、シリーズのリニューアル化が活発になりました。個人的には、キットの成形状態や部品の分割、モールド表現などが新しさを感じさせない無難な作り方だったため、同世代のキットに比べ一般的な評価が低いものと思います。
 飛行甲板は大戦後期艦として発売されている同型艦「瑞鳳」との違いを表現するために、甲板前部を別パーツ化していますが、甲板後部パーツとのつなぎは目立たないように配慮されています。エレベーターは飛行甲板と一体モールドです。甲板の伸縮繋手はモールド表現されていません。また、機銃座支柱は船体といったい成形で三角板で再現されています。白線と着艦標識はデカールが用意されています。大型艦ですが、シリーズの特徴となっている”おもり”が入っていません。


<作例>

 作例は多少の追加工作をしていますが、基本的には素組みです。別売りのエッチングパーツを使うか?悩みましたが、結局使用しませんでした。無線塔はキットパーツでは見劣りしすぎますので、上部のみプラ棒に変更しました。細さは全体の雰囲気に合わせたつもりですが、もう少し細いほうがシャープさが出るような気がします。古参キットと同じ表現の三角片の機銃座支柱は、空母キットのお決まりディティールアップであるプラ棒に変更しました。機銃類はピットロード製武装パーツに交換しました。船体前部上甲板と最上甲板および後部の上甲板はリノリウム甲板と判断し、0.2o真鍮線で押さえ金具を再現し、リノリウム塗装しました。実艦がこのようになっているかどうかは不明です。艦載機は最前部に96式艦戦、中央部に零戦、最後部に97式艦攻を並べました。

<感想>

 大きさ的には程よい空母で、千代田型や海鷹などを作ってみたくなります。艦載機の製作が嫌いなので、船体までの工作はスムーズに行きますが、その後は製作が停滞してしまいます。それでも、空母はやはり艦載機を大量に搭載している姿が映えますね。



旧日本海軍 二等巡洋艦 大淀1944

− 2009年1月12日完成 −
<キット>
 
フジミが展開するシーウェーモデル(SWM)の多くは、元々ウォーターラインシリーズ(WL)として開発されたキットで、WLを脱退したフジミが独自のシリーズとして発展させてきました。現在ではSWM特シリーズとして旧日本海軍の大和型戦艦、妙高型重巡、特設空母「海鷹」、給油艦、戦艦「金剛」などを開発し、われわれを多いに楽しませてくれています。その一方で、シリーズには前記したようにWLとして1970年代に開発したものが多く、これらのキットは一般的に現在発売されるキットとの技術差が大きく感じられ、「大淀」のキットもその一つとなります。
 この古参キットの評価はいろいろですが、昨年末にWLのアオシマより「大淀」が発売されるまでの間、唯一の1/700プラキットとして存在しており、存在価値は高かったものと推察します。アオシマの新キットが発売された現在においても、アオシマ製キットはとりあえず竣工時を再現したものを先行発売していますので、後日発売予定の連合艦隊旗艦時使用のキットが発売されるまでの間は、同じ「大淀」でも艦容が違うため、このSWMキットはまだまだ存在価値があるものと思われます。キットは”だいたいは正しい”といった「大淀」が製作でき、細部をこだわらなければ許容範囲の出来であり、旧キットのためにパーツ構成も単純で、簡単に製作ができる好キットです。個人的に最も気になるところとしては、軍艦としての最重要ポイントである主砲の形状が不良な点でしょうか。少しこだわるならば、司令室後部の兵員室が後ろ過ぎること、カタパルトが短すぎること、艦載艇運搬軌条が再現されていないこと、指令室天蓋はリノリウム表現になっていないこと、高角砲ブルワークの形状不良、前部マスト基部の兵員待機所の高さ不良、艦載艇の形状不良などが上げられます。


<作例>

 
作例は多少の追加工作をしていますが、基本的にはキットパーツを使い建造しています。主砲はピットロード製武装パーツに交換、機銃類、短艇類、探照灯、カタパルト、艦載機および高射指揮装置はWLのリニューアルパーツに交換、司令室天蓋と第二砲塔基部の最上甲板は伸ばしランナーを使いリノリウム押さえ金具を追加表現しました。高角砲ブルワークと機銃ブルワークはキットパーツを加工したり、余剰部品を使って表現しています。前部および後部マストはプラ棒と伸ばしランナーでほどほどに追加工作しています。
 今回は艦スペ「阿賀野型・大淀特集号」掲載の佐藤氏の「大淀」を教科書とし、また、連合艦隊編成講座の衣島氏の記事を参考とさせていただきました。

<感想>

 「大淀」は軽巡の割りに大きな船体で、まず初めに驚いたことでした。それと、阿賀野型にくらべると、十分な対空兵装があります。古鷹型重巡に比べても充実していて驚きます。まっ、大戦後期の竣工艦なので、当たり前と言えばそれまでですけれども...。阿賀野型と大淀は、日本艦の美しさが十二分に味わえる艦容であり、カッコイイですね。



     
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