展示室U



米海軍 ボーグ級護衛空母 CVE-20バーンズ1943

− 2010年12月07日完成 −
<キット>
 
ウォーターラインシリーズのアメリカ海軍艦艇として発売されている本キットは、もともとピットロードのスカイウェーブシリーズ82として発売されていました。この金型がタミヤへ移管されたことにより、現在ではタミヤから発売されています。タミヤが発売するに当たって、武装パーツと艦載機を新規に開発したため、救命筏はピットロード製とタミヤ製に2種類が入っています。しかし、指示どおりに救命筏を取り付けようとすると、2種類を混在して使わないと数が足りなくなります。舷窓の大きさが少し大きめですが、カッチリした良いキットです。艦橋側面板は補強したものと、補強していないものの2タイプが用意されています。

<作例>
 素組みです。塗装は簡単な段階色調のメジャー22を選びました。CVE-20バーンズは輸送任務の写真しか確認できず、甲板の艦番号も描かれていないものしか確認できませんでした。また、マストトップのレーダーも作例のようにSKレーダーを搭載しているか分かりませんでしたが、同型艦では甲板に艦番号を描いているものがあり、レーダーもSKを搭載しています。艦橋天蓋は甲板色で塗装するのが正解のようですが、誤って船体色で塗装しています。

<感想>
 ボーグ級護衛空母は各艦で細かな違いがあるようで、しかも、個艦でも年次によって形状に違いが見られます。したがって、リサーチの面では難しいところですが、余りこだわらなければ素直に作って楽しめるキットです。私は、情報不足なのでほぼ素組みです。



旧日本海軍 駆逐艦 三日月1927 -竣工時-

− 2010年12月06日完成 −
<キット>
 
1/700艦船模型界の老舗、ウォーターラインシリーズの駆逐艦では比較的新しいキットで、ハセガワが1980年に発売したものです。それなりにシャープな仕上がりで、気軽に睦月型駆逐艦を楽しむには適しています。キットは、1973年発売の「睦月」をベースにしたバリエーションキットであり、艦橋、煙突などのパーツを新たに開発したものとなっています。後年、ピットロードから睦月型駆逐艦が発売されていますが、こちらのキットは大戦前後の仕様であって、竣工時仕様にするには多少の工作が必要となります。
 実艦と違うところは、船体の中央構造物形状など「睦月」と同様ですが、ボート甲板は修正の必要がありません。細かく見れば間違いが目立つため、キットのシャープな形状を素直に楽しむほうが良いと考えます。

<作例>
 元々、全くの素組で10年くらい前に建造したものを、今回リメイクしました。追加工作は、ディティールアップ定番の前後マストの作り替えと、主砲をPT武装パーツから、艦載艇をWL艦船装備セットから調達しています。リノリウム押さえ金具を伸ばしランナーで再現し、キット付属デカールは改装工事時に削り取ったため、PTのキットから調達しました。

<感想>
 最近、躍進しているフジミ製のキットと違う意味で楽しめるキットです。古典的なキットですが、1/700のキットとはどういったものか?を考えさせられるキットですね。個人的には気軽に楽しめるキットが1/700の良さと思いますので、沢山のバリエーションを発売して集めて楽しむキット開発をして欲しいものです。



旧日本海軍 駆逐艦 睦月1941 -開戦前-

− 2010年11月15日完成 −
<キット>
 
1/700艦船模型界の老舗、ウォーターラインシリーズの中では古参キットの駆逐艦ですが、比較的シャープな成型で評判が良いキットです。ハセガワが1973年に発売したものですが、7年後の1980年に同型艦「三日月」を竣工当時仕様でバリエーション化し、キットの存在意義を高めました。
 睦月型駆逐艦は謎が多いため、製品化には結構苦労したのではないかと推測できますが、基本形状は良好ながら詳細部分は実艦と異なる部分が多いキットです。
 実艦と違うところを大雑把に言うと、まず、キットでは艦橋前部に機銃座を設けた形になっていますが、実艦では艦橋両舷のボート甲板前端が拡大されて機銃座となっています。なお、「睦月」は比較的早いうちに前没しているので、艦橋前部には連装機銃を装備しなかったものと推察します。次に、ボート甲板は竣工時の形状となっており、大戦直前から大戦中の姿とするには甲板の2/3後部を削除する必要があります。このボート甲板のうち、左舷側は下部が艦橋構造物の一部となっていてキットのように筒抜けではありません。また、煙突基部と船体の接合部分の形状も実艦と異なっていて、さらに、二番煙突後部の構造物形状なども実際は形状が違うようです。このように考証を加えると間違いが目立つため、キットのシャープな形状を素直に楽しむほうが良いと考えます。

<作例>
 キット箱絵と同じ実験迷彩時としました。但し、箱絵のボート甲板は竣工時となっていて間違っています。前後マストはプラ棒で作り直し、魚雷発射管はWL艦船装備セットより、主砲はPT艦船装備セットに変更しています。後部魚雷発射管前に13o連装機銃が装備されていたところがポイントなので、適当なジャンクションパーツで再現しました。艦載艇はWL艦船装備セットから調達しています。リノリウム押さえ金具を伸ばしランナーで再現しましたが、どうせ過大表現となるのであれば、やはり真鍮線で再現したほうが映えますね。

<感想>
 古参キットの「睦月」は、考証的には間違っている部分が多いのですが、製作すればシャープで全体的にバランスがとれた良いキットと感じます。手軽に作るには適したキットですね。



旧日本海軍 航空母艦 蒼龍1942 -ミッドウェー海戦時-

− 2010年9月25日完成 −
<キット>
 
1/700艦船模型界の老舗、ウォーターラインシリーズの中で唯一積極的な開発をしているアオシマが、満を持して発売したリニューアルキットです。シリーズの空母の中ではタミヤの「信濃」と並ぶ良いキットです。但し、倒立式無線塔の出来はイマイチで、着艦制動索も後付けのエッチングパーツに頼っているところなど、個人的には不満があります。高角砲は本体パーツを新規開発して、前作「飛龍」開発時の不具合を解決しています。
 キットは1941年の真珠湾攻撃時をプロトタイプとし、1942年のミッドウェー海戦時と1938年の竣工時頃のバリエーションキットを発売しています。各キットは、艦載機やデカール、艦橋の防空指揮所形状の変更で違いを表しています。

<作例>
 キットの指定どおり製作しましたが、倒立式無線塔と制動索は延ばしランナーにて追加工作しました。また、艦橋の防空指揮所形状は個人的な解釈により竣工時のままの形状に修正しています。使用キットは1941年時のものなので、飛行甲板の白線や標識などは1942年時仕様に変更しています。

<感想>
 アオシマの「蒼龍」は、旧キットが評判悪かったためにリニューアルが望まれていたキットでしたが、今回の新キット発売でようやくカッコいい「蒼龍」をそろえることができることになり、うれしいです。キットは組みやすく配慮されたもので、商品としての価値も高いです。ディティール表現は過剰すぎず、あっさりすぎずで、個人的にはちょうど良いものと考えます。オススメのキットです。



旧日本海軍 航空母艦 龍驤1934

− 2010年9月10日完成 −
<キット>
 
1/700艦船模型界の風雲児、フジミのリニューアルキットです。但し、シーウェイモデル特シリーズの中でも精密指向キットではなく、マイナー艦の開発シリーズに属するもので、キットの表現はあっさりしたものとなっています。パーツの合いが悪い部分や接合ガイドが意味を成さない部分があり、組み立ては難しい印象を受けます。説明書も不備が多く見受けられ、塗装指示もあいまいなため、ビギナーには難しく感じるでしょう。

<作例>
 キットの指定どおり製作しましたが、リノリウム塗装は個人的な推測によるものです。修正は艦橋前壁の測距艤や倒立式マストで行いました。

<感想>
 「龍驤」は2度の改装工事を行い、艦容が3タイプに分かれますが、今回発売されたキットでは、竣工時を除く2タイプをキット化したところを高く評価したいと思います。反面、製品としてもう少し完成度を上げていただけると助かるのですが…。今回は失敗しまくりの製作で、一時は廃棄しようかとも思いましたが、なんとか完成させることができました。今回の製作では反省点が多かったのですが、出来上がりを見ると独特の雰囲気がかっこいいなぁ〜感じられ、楽しむことができました。



旧日本海軍 秋月型防空駆逐艦 秋月1942 -竣工時- 

− 2010年5月21日完成 −
<キット>
 
フジミより発売された「秋月」は、同社としてはウォーターラインシリーズに属していたころに開発したキットがシーウェイモデルとして発売されていたため、実質リニューアルキットになります。リニューアルされた新キットは1/700艦船模型界は精密指向が進み、この要望にこたえる形で発売されたキットです。停泊時をモデル化したものなので、通常の作例とするにはパーツを省くか、加工する部分があります。

<作例>
 キットの指定どおり「秋月」の竣工時を製作しました。主砲砲身は少し加工して上部を向くようにするべきです。普通に取り付けると、やや下降ぎみとなり、何となくかっこ悪い感じがします。

<感想>
 現在の最先端キットとなる、精密指向の1/700。パーツは繊細で細かく、取り付けも難しいです。前部マストの信号桁の省略と後部マストの形状不良、甲板のリノリウム範囲不良が気になりますが、全体的な雰囲気は既存のアオシマ製やピットロード製キットより実艦に近いと思います。



米海軍 ペンシルバニア級戦艦 BB-38ペンシルバニア1944

− 2010年5月21日完成 −
<キット>
 
ドラゴンの「BB-39アリゾナ」のバリエーションキット。発売が結構遅れたキットです。キットにはパーツがたくさん入っており、余剰な武装が多く発生します。これらのパーツは元々エセックス級航空母艦の発売時に開発されたもので、エセックス級の艦橋パーツまで入っています。

<作例>
 キット指定どおりとしました。塗装はネービーブルー色のメジャー21塗装。対空用のカモフラージュです。塗装はGSIのネービーブルーをそのまま使用せず、少し明るめとしましたが、それでも画像のように暗い仕上がりとなってしまいました。甲板はデッキブルー色で塗装。前楼のヤードはキットパーツもエッチングも断面形状が四角ですが、実艦は断面が三角となっており間違っています。作例ではエッチングを加工して断面が三角の形状にしました。
 キット説明書では、リサーチ不足によりマストトップのレーダー類の取り付け指示にミスがあり、各自でリサーチすることをお勧めします。作例はキットで謳っている1944年時(実際は1944年〜1945年前半)の姿としました。
 個人的な好みによりエッチングをほとんど使いませんでしたが、キットでは手すりとレーダー類、艦尾クレーンのエッチングが付属しています。残念ながら、カタパルトはエッチング化されていません。


<感想>
 今回も剥離剤落としが不十分で、筆塗りにだいぶ苦労してしまいました。煙突と後部艦橋との間の空間が気になるのですが、詳細不明のためキット指定どおりです。本来はこの部分に艦載艇が載るのかな?



海上自衛隊 はつゆき型護衛艦 DD-124みねゆき1986

− 2010年5月10日完成 −
<キット>
 
ピットロードのスカイウェーブシリーズ(SW)初期作品です。ピットロードの自衛艦シリーズは他社にないほど充実していますが、その原点となるキットとしての価値は高いものと思われます。同型艦を製作することが出来るようにデカールも準備されており、1/700の“作って集める”を促す好キットです。

<作例>
 「DD-124みねゆき」の竣工してすぐの頃を製作しました。はつゆき型護衛艦は就役が比較的長いので、艦容は現在と竣工時では少し異なっています。

<感想>
 最近のSWキットに比べると、プラの素材は固めです。マストのトラスは左右のみ再現されており、前後は筒抜けなのでプラ棒で追加工作することをお勧めします。付属デカールは幾分大きめで、少し合わないところがネックですね。部品割は特に問題もなく製作できますが、一度改定して追加部品を開発しているために、説明書では少しわかりにくいところがあるように感じました。搭載ヘリの塗装指示も非常にわかりにくいです。


旧日本海軍 航空母艦 赤城1934 -三段甲板-

− 2010年2月28日完成 −
<キット>
 
三段甲板時代の「赤城」の1/700プラキットは、ウォーターラインシリーズのハセガワより、2008年に発売された新キットです。キットは竣工からしばらくの間の姿と、大改装前の中期頃の姿を選んで工作できます。三段甲板時のキットが発売されたことには正直驚きました。今後、大改装後の全通甲板の「赤城」もリニューアル発売される予定となっており、多くの方々が期待していることでしょう。なお、WLでは1971年発売の古参キット「赤城」とこの新キットの2種類が現在発売されています。

<作例>
 「赤城」の船体は非常に大きく、大和型戦艦が登場するまでは、旧日本海軍艦艇の中で最も長い船体でした。その大きさは1/700においても十分迫力があります。作例では無線塔をプラ細棒にて作り換えたのみで、後はまったくの素組みです。組み立ては少し複雑で難しいところもありますが、現在の技術で再現された「赤城」を一度作ってみることをお勧めいたします。

<感想>
 組み立ては、飛行甲板下の支柱取り付け位置と角度調整が結構辛いのですが、その他のパーツはそれほど難しいと感じませんでした。最下段の飛行甲板と船体の取り付けラインは、船体側面に大きな分割ラインが目立つので、成型作業が必要です。艦載機はデカールが細かくて貼るのに一苦労します。



旧日本海軍 球磨型二等巡洋艦 球磨1941

− 2010年1月24日完成 −
<キット>
 
軽巡「球磨」の1/700キットは、ウォーターラインシリーズのタミヤより、1973年に発売された古参キットです。発売当時は、シャープな整形と詳細な表現から一般的な評価が高かったようです。
 現在でもシャープな艦容は、十分通用するキットですが、モールドはあっさりしており、追加工作が必要な部分もあります。また、考証的には年次表現があいまいとなっていて、近代改装前の姿の部分と近代改装後の部分が混在しています。

<作例>
 大きな修正として、まず、後部シェルター甲板の拡張を実施し、支柱を再現。左舷側への拡張が本艦の特徴となり重要です。次に、魚雷発射管は前後部ともに艦尾側に向けて係止します。それから、前部および後部マストトップを近代改装後の姿に変更。後部マスト中段の見張り所撤去、探照燈数と取り付け位置の変更、ボートダビットの最後部両舷を大型のものに換装し、短艇類も一部を内火ランチから内火艇に変更。最後に、艦首波きり板追加。以上が、追加工作の主なポイントでしょうか。

<感想>
 当初、評判がいいキットなので、素組みでサクっと作れると思い込んで建造を始めたために、修正箇所があることに気づいたときは落胆しました。しかし、基本的な部分は優れたキットなので、手をかけれだけ良くなるキットです。あらかじめ、追加工作範囲を決めて実施することが重要かもしれません。
 僚艦「多摩」や「木曽」とも積極的にパーツ換えしていて、個艦の特徴を出来るだけ表現しようと努力しているキットであり、発売年次頃の考証と当時の世間が求めているレベルを考慮すれば、よく出来ているキットと感じます。



      
inserted by FC2 system