展示室U



旧日本海軍 白露型駆逐艦 村雨1937

− 2011年10月10日完成 −
<キット>
 ピットロードが展開するスカイウェーブシリーズでようやく発売された白露型駆逐艦キット。これで大戦に参加した一等駆逐艦が、同シリーズで揃うことになりました。この意義は大きいと思います。
 キットパーツは、分割から後期型(海風型)へのバリエーション展開が予想できるので、期待したいと思います。
 付属のデカールには、1番艦「白露」から3番艦「村雨」までの艦名があります。

<作例>
 ネームシップの「白露」キットを3番艦「村雨1937」として製作しました。
 今回は、マストパーツにバリが多く、整形の手間を考えてプラ棒に変更しています。旗竿もマストのシャープさとのバランスを考えてプラ棒へ変更しました。
 第一煙突横の小煙突は、初春型駆逐艦キットと同様に高さが有りすぎますので、短縮すると良いと思います。
 艦橋脇のボートダビットが、艦橋と干渉してしまい、無理矢理…といった感じの取り付けとなります。ダビットを加工する方が良いかも?

<感想>
 最新キットですが、開発ベースは初春型のために目新しさがないキットです。しかし、準同型艦の初春型との統一性は良く、コレクション性は抜群です。
 もう少し早く開発すれば、一般的な評価が高かったように思われます。
 



旧日本海軍 香取型軽巡洋艦 香取1941

− 2011年9月21日完成 −
<キット>
 アオシマのWLキットは、出来が良くないキットを精力的にリニューアルしており、とうとう本艦のような地味な艦までリニューアル対象になりました。
 同型艦もすべて発売される予定でコレクション性も高いキットです。
 モールドは今風のシャープなキットで、防空指揮所の双眼鏡や単装機銃、錨やご紋章までパーツ化されています。
 普通に製作して楽しむには十分なキットです。

<作例>
 キット指示どおりに作成です。艦橋の甲板部のみ個人的な考えをいれた塗装としています。
 また、艦載機の取り付け指示がキット説明書にはありませんが、パーツはキットに同封されたWL大型艦リニューアル艦船装備セットのものを使えば問題ありません。機種は94式水偵となります。

<感想>

 残念ながら旧キットの製作経験がないため、この新キットに対する完成度への驚きが半減してしまう気もするのですが、文句なしで良いキットだと思います。



旧日本海軍 初春型駆逐艦 初春1944

− 2011年7月31日完成 −
<キット>
 ピットロードのスカイウェーブシリーズでは比較的古参キットとなる初春型駆逐艦キット。大戦前期仕様の「初春」と大戦後期仕様の「初霜」が発売されていますが、武装強化仕様の「初春」を製作するにあたり「初霜」キットを使いました。しかし、「初春」キットには同型艦「子日」と「若葉」、「初霜」キットには同型艦「夕暮」と「有明」の艦名デカールが付属されており、キット内容は全く共通であるため、本来ならば「初春」キットを使うのが正しいことになります。

<作例>
 元々、「初霜1945」として製作したものを同型艦「若葉1944」に変更し、今回二度目の改装を実施して「初春1944」としました。元々は船体色に横須賀海軍工廠グレーを使っていたのですが、我が造船所規定に従い、舞鶴工廠グレーで塗装し直し、加えて細部の仕上げを見直しして機銃位置を資料に従って修正しました。
 ブルワークの布と主砲基部の防水布は、大戦後期の疲弊さを表現するために白色を使わず、白っぽいグレーで塗装してみました。
 舷外消磁電路をプラ棒にて、舷側窓蓋をプラ板にて再現しました。
 写真では前部マストトップの斜め桁を付け忘れています。(後日取り付けました。^^;)ここは、キットどおりではなく艦尾方向に傾斜するのが正解で、横桁より少し細いものを使うべきです。

<感想>
 第一煙突横の小煙突の位置が少し高すぎるのが気になりますね。後部の第二砲塔が機銃に変わっていることと、艦橋前部に機銃座が新設されているのが後期仕様の特徴です。なお、「初春」は戦没直前に後部の13号電探を装備したようですね。



海上自衛隊護衛艦 むらさめ型汎用護衛艦 DD-107むらさめ1959

− 2011年7月31日完成 −
<キット>
 1/700艦船模型界では独特の展開を続けるピットロードが、本来の強みである護衛艦シリーズを充実させるため、現在では見られない過去の艦艇を新規に開発し始めました。その第2弾がこのキットです。艦尾がオランダ坂と呼ばれる長船首楼型の船体を持つ護衛艦で当時の護衛艦群はこのような艦容をしていました。
 キットは、ネームシップのむらさめと3番艦のはるさめを発売しています。武装パーツの差し替えにより竣工時と最終時を再現できるようになっていますが、前部マストは少し実艦と形状が違うようですね。別売りでエッチングと戦闘通路デカールが一緒となったものを発売していますが、できるならば戦闘通路はキットに付属して欲しかったです。

<作例>
 同型艦の「はるさめ」との違いを楽しみたいため、竣工時仕様で製作しました。しかし、厳密には竣工時は後部マストトップが装備されていなかったようなので、竣工後の艦容です。
 前部マストトップは、リサーチにより修正工作しています。また、マスト前後の補強材も追加工作しました。
 戦闘通路は凸モールドをそのまま塗装して再現しています。

<感想>
 ピットロードのキットは、キットパーツの成形が少し悪いのが気になるのですが、ここは丁寧に下地処理して対応しなければならないのが辛いですね。



旧日本海軍 初春型駆逐艦 夕暮1941

− 2011年6月1日完成 −
<キット>
 1/700艦船模型界では独特の展開を続けるピットロードが発売するキットです。対陣するウォーターラインシリーズのアオシマ製初春キット(旧キット)は一般的評価が悪かったこともあって、比較的早い段階で発売され、当時、良好な評価を受けたキットでした。キットは大戦前期の「初春」と大戦後期の「初霜」を発売し、同型艦のデカールも同封しているので、再現が可能なキットとなっています。

<作例>
 「初春」のキットを使い「夕暮」としましたが、「初霜」のキットも「初春」のキットもパーツ構成は同じもので、デカールのみが違います。したがって本来ならば「夕暮」のデカールが付属されている「初霜」のキットを使用します。作例は元々「初春」として仕上げたものを再塗装し、夕暮のデカールを貼っています。本来、5番艦「有明」と6番艦「夕暮」は改初春型と言われており、船体形状などに違いがあるようですが、資料不足なので後部爆雷装備のみ違いを再現しました。

<感想>
 ピットロードのキットは、仕上がりが独特なので好みが分かれるところですが、全体的な艦容を楽しむよりも部分的な存在感を楽しむほうが良いかもしれません。表現が大げさな分、存在感は強いキットです。
 マストは非常に太いため、これを細いものに変えるだけてガラッと違うものになるでしょう。



旧日本海軍 初春型駆逐艦 子日1933

− 2011年5月15日完成 −
<キット>
 1/700艦船模型界の老舗ウォーターラインシリーズ(WL)を構成するアオシマが、2011年に発売した新キットです。もともと初春型駆逐艦はWL中に4隻発売されていましたが、キット形状が実艦と大きく異なるため、一般的評価が低いキットでした。今回、この初春型をリニューアルしてきたのですが、先行して発売されたものは大改装前の竣工時の強武装タイプでした。意表を突かれた人も多かったのでは?私は、竣工時仕様が発売されることに大変驚きました。後日、大改装仕様のキットが発売予定されています。

<作例>
 本艦は一番艦の「初春」とともに、原設計どおりに竣工しましたが、性能不良ですぐに改装されてしまったため、この姿で存在した初春型は6隻中2隻のみです。しかも、極短い間しか艦容が存在しなかったため、年代変化はありません。したがって、キット指定どおりに製作しています。唯一、2番煙突後部のパーツが疑問だったのでプラ板にて作り変えを行いました。また、結構目立つ構造物である伝声管をプラ棒で再現しています。

<感想>
 アオシマの最新キットであるため、モールドや形状も素組みで十分楽しめるキットに仕上がっています。SD版としてエッチング付きを先行発売しますが、通常版で十分だと感じました。願わくば、伝声管をパーツ化してもらえると、十二分なキット内容になったものと思います。



旧日本海軍 金剛型戦艦 金剛1941

− 2011年4月15日完成 −
<キット>
 1/700艦船模型界では老舗のウォーターラインシリーズ(WL)中の「金剛」キット、ハセガワ製の「金剛1944」。1/700では他に、もとWLのキットであったフジミ製のシーウェイモデル(SWM)のものと最近発売された新キットのSWM特シリーズ「金剛1944」の2つがあります。
 このWLキットの「金剛」は、開発が1990年代初期で成型技術が今より低いことやモールドが詳細でないこと、この当時の考証があまり詳しくなかったために実艦との違いがキットに多数見られることもあって、現在では一般的な評価が低いキットとなっています。

 キットは対空機銃を増備した1944年のレイテ沖海戦以降を現しているようですが、艦橋構造物の形状はリサーチミスによって大戦前期の1942年頃を現しているようです。

<作例>
 今回は、キット指定の1944年の姿から開戦頃の姿へ変更して製作しました。主砲はピットロードのものに変更、機銃も同様に変更しています。第一煙突周りの探照燈台座形状の修正や後部マスト基部の高角砲弾薬補給所の再現、航空機作業甲板形状の修正などを実施しています。

<感想>
 実艦に近づけるため考証重視すると、キットの修正が複数箇所に及ぶため、気軽に作ることはできません。しかし、ある程度割り切って製作するならば、現在の精密モデルより気楽に製作することができます。シリーズの戦艦群では一番古いキットなので、それなりの妥協か徹底的な改造かを選択することが大切だと感じます。



旧日本海軍 秋月型防空駆逐艦 新月1943

− 2011年3月9日完成 −
<キット>
 現在、1/700 艦船模型界では何かと話題のフジミ、シーウェイモデル特シリーズ。このシリーズでは初の駆逐艦キットとなりました。しかも、同型艦を加えた2隻セット販売となっています。フジミのシーウェモデルには旧キットとなる「秋月」キットも発売されているため、実質的にはリニューアルキットとなります。

<作例>
 今回は、キットに同封されている一隻を2番艦「照月1942」から5番艦「新月1943」へ修正して建造しました。キットは竣工時の前期型を表したキットなので、このキットを大戦中期に建造された前期型の電探装備仕様に改装した次第です。前部マストの中段より上部をプラ棒にて変更し、21号電探を取り付けました。対空機銃の増備により煙突両舷に機銃が装備されているため、追加しました。後部マストトップ形状はキットの再現が実艦と異なるため、プラ棒にて修正しました。

<感想>
 考証的には正確に再現している部分が多く、修正の必要が少ない分、パーツの組み立てや加工が難しくなりました。気軽に製作とは行かないキットです。



海上自衛隊 地方隊護衛艦 DE-261わかば1963

− 2011年1月19日完成 −
<キット>
 
ピットロード(PT)が展開しているスカイウェーブシリーズのJシリーズとなる海上自衛隊護衛艦シリーズ。1/700の洋上模型の本家であるウォーターラインシリーズよりも早くから護衛艦キットを発売し、ラインアップは随一です。この充実した製品を武器として、最近は過去に活躍した護衛艦を発売し始めました。その一番手が「DE-261わかば」です。ベースは橘型(改松型)駆逐艦のキット。すでに武装以外のパーツは橘型が発売された時に開発されていたようですが、武装パーツの開発が遅れてこの都度発売となったようです。
 残念ながら、艦橋構造物の長さが短い欠点がありますが、小さな艦容はメリハリのあるPT調のモールドで華麗にまとまっています。

<作例>
 今回は素組みとはいかず、修正作業を実施。艦橋構造物の艦首尾方向への延長工事を行いました。後は、戦闘通路の白線である凸モールドを凹モールドに修正し、白色でスミイレ塗装しました。前部マストはPTキットに多い艦首尾のトラス構造が省略された形なので、プラ棒にて追加。艦首両舷の側壁形状の修正は難しいため実施しませんでした。…以前に行った橘型駆逐艦の製作時の経験からです。

<感想>
 今回は修正することを前提としていなかったため、作業を実施することに気をとられて、仕上がりは不十分なところが反省点です。作業中にテンションが下がってしまったのが原因ですが、もう少し垂直、水平面をキチンと再現したいものですね。



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