展示室Ⅱ



旧日本海軍 勢多型砲艦 堅田1941/保津1941

- 2012年12月1日完成 -
<キット>
 アオシマが2011年にウォーターラインシリーズ(WL)として発売した砲艦「勢多/比良」のバリエーションキットであり、2012年に発売されました。
 2隻セットの発売で、兵員室の窓形状の違いによって“堅田”と“保津”の違いを現しており、それぞれ専用のパーツを開発しています。
 キットの指定では日中戦争後の武装強化時を再現しているようですが、パーツには日中戦争前の形状を示すものがあります


<作例>

 キットの指示では、性能改善工事後の設定ですが、パーツには日中戦争前の形状を示すものが多々あり、程度自分自身でリサーチする必要があります。パーツの形状をそのまま利用すると煙突と通風筒形状は大戦前となりますが、その他は日中戦争以後の形状をしています。従って、煙突と通風筒のパーツは「勢多/比良」のキットより調達しています。
 船体中央構造物の兵員室天蓋の色で悩みましたが、赤茶系の色だったとの解釈をしました。上甲板と最上甲板のリノリウムも個人的な解釈で行っています。

<感想>
 とにかく小さい艦なので、組み立てと塗装が大変でした。但し、パーツ割りは簡素で組み立て易かった、流石はWLといったところでしょうか。
 シリーズに砲艦が加わり、益々充実したWL。アオシマ万歳!ですね。



旧日本海軍 勢多型砲艦 勢多1931/比良1931

- 2012年11月4日完成 -
<キット>
 アオシマのウォーターラインシリーズ(WL)として2011年に発売されました。同シリーズでは、砲艦の発売は初めてとなります。
 2隻セットの発売で、兵員室の窓形状の違いによって“勢多”と“比良”の違いを現しており、それぞれ専用のパーツを開発しています。
 説明書の絵柄を見ると実際には再現されていないものや形状が違うものがあり、甲板上のリールなど金型開発で上手く再現されていないところがわかります。とにかく小さいので1/700では仕方ないのかもしれませんね。


<作例>

 キットの指示で設定年代が曖昧なため、ある程度自分自身でリサーチする必要があります。パーツの形状をそのまま利用すると煙突と通風筒、機銃および艦橋構造物形状は大戦中となりますが、錨鎖甲板は日中戦争以前の形状をしています。従って、艦橋部は改造し、錨鎖甲板以外のパーツは「堅田/保津」のキットより調達しています。また、塗装指示も日中戦争以前の指示ですので注意が必要でしょう。
 船体中央構造物の兵員室天蓋の色で悩みましたが、赤茶系の色だったとの解釈をしました。上甲板と最上甲板のリノリウムも個人的な解釈で行っています。

<感想>
 とにかく小さい艦なので、組み立てと塗装が大変でした。但し、パーツ割りは簡素で組み立て易かった、流石はWLといったところでしょうか。船体色の白塗りは大変でした。
 しかし、このようなマイナーな艦まで開発してくれるとは、アオシマさんに感謝ですね。



海上自衛隊 あさひ型護衛艦(警備艇) DE-262あさひ1955/DE-263はつひ1955

- 2012年9月5日完成 -
<キット>
 ピットロード(PT)のスカイウェーブWシリーズのスポット生産品として長い間発売されていましたが、近年にJシリーズに移行し№SP02として販売されました。実艦同様に米海軍ギアリング級護衛駆逐艦キットのバリエーションとなっています。
 デカールには艦名のみ“あさひ”と“はつひ”が新規のもので付属していますが、艦番号は既存キットの寄せ集めになっており、しかも2隻分ありません。但し、最近リニューアル発売されたものではデカールが新たに2隻分用意され、不満が解消しました。


<作例>

 キットの指示どおりで製作しましたが、艦番号デカールは1隻分のみが用意されているため、“はつひ”のみストックより調達しています。

<感想>
 開発が古い古参キットですが、PT独特の良さを感じるキットです。最近、PT国産キットは過去に活躍した護衛艦シリーズの開発を盛んに行っており、戦後の日本を守ってきた艦艇を開発してシリーズを拡充させています。その一つとして揃えてみたい艦ですね。



旧日本海軍 白露型駆逐艦 海風1944

- 2012年8月22日完成 -
<キット>
 ピットロードのスカイウェーブWシリーズ№138。先行発売の№135「白露」キットのバリエーションとして、2012年に発売されたものです。前期型との違いを艦橋前面パーツの差替えによってキチンと再現しています。
 デカールには後期型4隻すべてが付属されており、武装強化前の姿を作ることも可能です。


<作例>

 キットの指示どおり最終時仕様で製作しましたが、「海風」が2番砲塔を撤去していたかどうかは不明なようで、前部マスト上の13号電探も装備していたかどうかは疑問があります。
 舷外消磁電路をプラ棒で再現、舷側窓をピンバイスで再現しましたが、適度に蓋をして浮沈対策を表しています。船首楼甲板の両舷端は角を落としていますが、少し控えめ過ぎたかな?と反省しています。


<感想>
 コレクション性は抜群で、同シリーズの初春型駆逐艦と並べても違和感ないと思います。戦時中は艦中央の艦名が表記されていませんが、個人的な好みで再現しています。
 成形がもう少し良ければ言うことなしなのが、ピットロード製キットでしょうかね…。



旧日本海軍 丙型海防艦 第1号1944,第205号1945

- 2012年7月18日完成 -
<キット>
 ピットロードの丙型海防艦は、もともとスカイウェーブWシリーズ№7として米潜水艦ガトー級、B-24爆撃機、13号型駆潜艇、17m内火艇が一緒になったVSシリーズと銘打って発売されていたキットです。このキットでは丙型海防艦の前期型が1隻作ることができました。
 しかし、ガトー級潜水艦と13号駆潜艇の金型がタミヤへ移管されたことにより、№W-7は廃版となり、新たに丙型海防艦のみ2隻セットとしてW49が発売されました。新たに発売されたW49では、後期型を製作できるようにパーツの追加を実施しています。このW49も最近は生産中止状態でしたが、2012年7月にSPW18として数量限定販売で再生産されました。


<作例>

 丙型海防艦キットは2隻セットなので、1隻は前期型としてキットの指示どおり製作しましたが、艦橋前部の単装機銃と迫撃砲、艦橋両舷の連装機銃は無かったようです。
 もう1隻は後期型として後部マストに13号電探を装備させ、前部高射砲の波除盾形状をキット指示どおりに後期型としています。後期型では船体の甲板上リノリウム貼りは無かったとの説がありますが、あえて再現しています。前期型および後期型ともに、船首楼舷側のテーパーを再現、舷側窓もピンバイスにて再現しました。


<感想>
 やはり船体が小さい分、マストの太さが目立ってしまうので、プラ棒に変更した方が無難ですかね…。艦載艇とボートダビットがやや大きめなスケールなため、船体に取り付ける際には少し無理がありますが、兵装も過大表現なために全体的なバランスは均一性がとれていると思います。



旧日本海軍 占守型海防艦 占守1940,国後1944

- 2012年4月29日完成 -
<キット>
 ピットロードのスカイウェーブWシリーズにて既に発売されている択捉型キットをもとに開発されたものと推察しますが、2012年2月に発売されたキットです。海防艦のキットは、ウォーターラインシリーズやシーウェイモデルのフジミからも発売されていないため、貴重なキットとなっていて、長い間、占守型と御蔵型のみが未発売となっていました。2012年に至り、両キットとも発売されて海防艦は全型が同シリーズよりリリースされました。

<作例>

 「占守」は竣工時仕様とし、前後マストはプラ丸棒にて作り替えています。やはりこの位の小型艦ではマストが太くて目立つので、細棒に変えると大変シャープに変身します。
 「国後」大戦後期の武装強化型とし、全くの素組みとしています。船体の舷窓モールドは、全くありませんので外箱裏の塗装図を参考にピンバイスでさらって再現しています。船体上部構造物は窓がモールドされていますが、最近発売されている模型にしては窓が大きすぎるのが気になります。開発ベースの択捉型をそのまま使用したためと考えられます。


<感想>
 占守型を初めとする海防艦の1/700プラキットは、PTのキットが唯一なため大変貴重な存在です。しかも、海防艦原型の占守型が発売された意義は大きいと感じます。



旧日本海軍 鵜来型(日振型)海防艦 日振1943,波太1944

- 2012年4月9日完成 -
<キット>
 ピットロードのスカイウェーブWシリーズで比較的早い時期に開発されたキットです。海防艦のキットは、ウォーターラインシリーズやシーウェイモデルのフジミからも発売されていないため、貴重なキットとなっています。
 鵜来型の大掃海具搭載型と言いますが、ネームシップの艦名より日振型とも言われます。大戦中期から後期に建造されたため、艦容変化は少ないようです。 

<作例>

 もともと10年位前に製作したものを、塗装し直しています。塗装にあたり、パーツを剥ぎ取っているので、多少はパーツにダメージを与えています。しかし、当時は整形をあまりしなかったので、今回は整形を丁寧に実施し、短艇類の塗装なども細かく塗り分けています。

<感想>
 PTの艦船模型は、小さな船体のものでは大げさなモールドが非常に映えるため、存在感が増して個人的には大満足です。
 どうですか?海防艦の本命と言われた鵜来型の掃海具搭載仕様です。(^.^)



旧日本海軍 扶桑型戦艦 山城1941

- 2012年3月18日完成 -
<キット>
 ウォーターラインシリーズ(WL)で2007年にようやくリニューアルされた扶桑型戦艦キットの 1つ。WLでは金剛型戦艦を1994年にハセガワが再開発してからしばらくの間、停滞していたキットのリニューアルが1998年の大和型と長門型のリニューアルより活発化し、伊勢型のリニューアルを受け最後に残っていた扶桑型がやっとリニューアルしました。
  1番艦の「扶桑」と船体および甲板パーツを共通としているため、甲板構造物が「扶桑」となっていますが、上部構造物は殆ど別パーツとなって実艦を忠実に再現しています。また、艦尾のリノリウム形状は「山城」を基本に開発しているため、「扶桑」では修正が必要でしたが「山城」では修正不要です。
 発売当初は、その完成時の艦容やモールドの繊細さから絶賛されたキットであり、WLのアオシマに対する負のイメージを吹き飛ばした好キットです。
 現在では実艦の考証が進んだため、細かなリサーチミスが指摘されるようになってきましたが、僚艦「扶桑」では派生キットや甲板形状、艦橋形状を修正したリテイクキットを発売しています。「山城」は現在までに派生キットやパーツ修正キットを発売していないため、2007年時発売のキット内容のままです。
 キットでは艦首甲板と艦中央部の甲板を別パーツ化したため、甲板の継ぎ目が目立つことがネックです。また、現在では艦橋頂部の主砲測的所がキット仕様の1944年時には撤去されていたとの説が有力であり、修正する必要があります。短艇類の搭載位置も「扶桑」を説明しているようなので、別途リサーチが必要です。

<作例>

 艦橋頂部のリサーチミスを活かした作品とするため、大戦前期仕様としました。基本的にはキットの機銃類取り付けを減少させることと、3連装を連装へ変更させることで容易に大戦前期仕様に変更できます。
 短艇類は17m長官艇と15m内火艇が不足しており、別に調達する必要があります。舷外消磁電路はキットパーツには再現されていないため、プラ棒にて再現、汚水捨て管も「扶桑」のものがモールドされているため、これを削ってプラ棒で再現しました。アオシマでは珍しくエッチングの別売りがあり、これを使用しています。

<感想>
 「扶桑」に続き、艦橋部分や甲板パーツを修正したリテイク版が発売されることが予想されます。今後に期待したいですね。(^.^)



旧日本海軍 川内型軽巡洋艦 那珂1943

- 2012年2月6日完成 -
<キット>
 アオシマのウォーターラインシリーズ(WL)で近年ようやく発売された川内型軽巡洋艦キットの中の 1つ。WLでは1992年にフジミがシリーズから脱退し、川内型軽巡の 2番艦「神通」がシリーズから脱落して以来、長い間シリーズに川内型が不在でした。アオシマのキットは 1番艦「川内」と 2番艦「神通」および 3番艦「那珂」の船体形状が異なることを別々のパーツ開発によって再現。また、 3艦とも艦橋構造物が大きく異なるため、専用パーツで構成しています。艦尾の甲板も別パーツ化して違いを再現、雷装の違いはタミヤの長良型同様に前部発射管の撤去前と後を専用パーツにて対応しています。派生キットとして1933年の近代改装工事前の姿を再現した限定キットも発売されました。

<作例>

  3番艦「那珂」は大戦中の実艦像の多くが不明なため、こだわるのであれば念入りな下調べをお薦めします。大戦中の艦容は大きく大戦前期と被雷後に修理された大戦後期の 2つに分かれるので、どちらにするか決める必要があります。ちなみにキットは1943年~1944年時を再現しているようですが、前部マスト上の21号電探と 5番主砲撤去跡の高角砲搭載の指示が無いことから大戦前期の姿を表しているように思えます。しかし、機銃の搭載は最終時の武装強化のようであり、考証面で統一性に欠けている部分があります。
 作例では1943年として損傷修理後の姿を再現しました。21号電探取り付けによる前部マストの加工と高角砲搭載による追加工作は手間ですが、それほど難しい作業ではありません。艦橋天蓋形状は個人的な考えを反映させ、後部をカットしています。キットの説明書では、艦載艇の取り付け指示にミスがあります。また、キットでは艦橋前部の機銃が省略されていますが、実艦では13㎜連装機銃が搭載されていたようです。

<感想>
 
実艦資料が少ないためにリサーチが難しいですが、大戦前期仕様とするには比較的容易なキットだと思います。何よりシリーズに川内型全てが登場しただけで、私としては嬉しい限りです。(^.^)



旧日本海軍 航空母艦 加賀1938

- 2012年1月14日完成 -
<キット>
 ハセガワのウォーターラインシリーズ(WL)でラインナップされているキット。40年近く前に開発された古参キットですが、1/700唯一のプラキットとして長らく存在していました。最近になってフジミより1/700「加賀」の新キットが発売されたため、存在感が薄れています。
 キットは開発が古い故、考証的には間違いが多いために敬遠されている傾向も強かったのですが、全体的な雰囲気は「加賀」の特徴を良くあわらしていると評価されてきました。また、パーツもそこそこシャープなキットであり、こだわらなければ容易に重圧な「加賀」が完成できるキットです。

<作例>

 飛行甲板の白線モールドが1938年時に近いため、1938年仕様として製作しました。この頃は日中戦争に参加している実写真が存在しています。
 今回は、艦橋部分と発動機調製所の再現に的を絞って追加工作しました。艦載機は96式艦爆と艦攻を搭載。日中戦争参加機として二色迷彩をしています。着艦制動索は省略されているので伸ばしランナーで再現しました。左舷側の艦首格納庫舷外通路の切除や高角砲支柱の再現、20cm砲射撃指揮所修正などは実施しています。
 なお、キットの大きな泣き所は艦尾形状にありますが、目を瞑っています。

<感想>
 古いキット故に実艦との違いが目立ちますが、反対に作りやすいキットでもあります。気軽に楽しむには適したキットですが、現在ではいろんな情報を得てしまっているので、キットに満足できるかがポイントでしょうか?



     
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