展示室Ⅱ 2014



アメリカ海軍 沿岸域戦闘艦 LCS-2インディペンデンス 2010(竣工時)

- 2014年12月31日完成 -
<キット>
 2010年に実艦が登場すると、その特徴的なフォルムから、すぐにキット化されました。同型艦もキット化されています。

 フルハルキットですが、喫水線で分割され洋上模型としても楽しめるようになっています。ヘリ甲板の転落防止ネットなどはエッチングが用意されていますが、取り付けは難しくありません。シンプルな構造なのでパーツ点数は少なく抑えられています。

<作例>
 ストレート組みですが、喫水線の黒色を再現するために艦底に0.5㎜のプラ板を貼って再現しています。これは個人的な好みですが、艦底色が少し見えるほうが洋上模型は引き締まると思います。現在の艦容を確認することができないので、有名な公試運転の動画を見る限りでは船体は青っぽいグレーには見えず、キット指定色に近い色彩に見えますが、砲塔のみ従来のヘイズグレーのように感じます。エッチングはヘリ甲板艦尾側のパーツのみ左右の幅が大きすぎるため、切り詰めないとキットに合いません。

<感想>
 船体は上下に分割されていますが、形状が独特なので艦尾周りの合いがよくありません。また、船体中央左右の張り出し部分も隙間がでるので、整形処理が必要です。
 近未来的な形状には本当に驚かされますが、軍艦としての厳つい艦容が益々なくなり、個人的には現代の軍艦のフォルムはあまり好みになれません。



旧日本海軍 水上機母艦(特殊潜航艇母艦) 日進 1942

- 2014年10月07日完成 -
<キット>
 1/700のプラキットとしては初のキットとなり、レジンキットでしか存在していませんでした。本艦は活躍が地味で同型艦がないため、開発されずにいた艦です。

 個人的には1/700の縮尺としては少々凝りすぎているように感じられますが、現在のレベルではこんなものでしょうか?

 キットの船体は準同型艦の千歳型のバリエーションなため、艦尾甲板のリノリウムが鉄張りになっているなどの実艦とことなる部分も目立ちます。最大のネックは船体中央部側面のバルジを削り取る作業ですが、作業としてはそれほど大変なものでもなく、また難しいものでもないと思いました。艦中央のクレーン取り付け方法は旧キットの千歳型の技法をそのまま流用しており、取り付けにくいため、改善すべきだったものと思います。

<作例>
 全くのストレート組みで、追加工作はありません。主マストは設計不良のようで、キットパーツはそのまま取り付けることができません。下部の主柱および支柱間の三角形の板を削り取る必要があります。また、艦中央部のクレーンと艦載艇は干渉してしまうので、クレーンの取り付け角度を少しキット指定より上げる必要があります。

<感想>
 WLとしては少々作りにくいキットになりますが、最近のアオシマキットは再現度優先の開発のため仕方ないでしょう。しかし、随所にもう少し部品取り付け易さに考慮すべき点が見られます。バリエーションキット故、実艦と異なる部分もありますが、同型艦がないマイナー艦を発売してくれただけでも感謝するべきですね。(^^)



旧日本海軍 戦艦 陸奥 1941

- 2014年06月02日完成 -
<キット>
 現在、1/700の「陸奥」はアオシマとフジミから発売されていますが、アオシマのキットは発売から10年以上が経過したものです。発売当時はシリーズの旧キットである30年以上前に開発されたものの弱点を解消したキットとして絶賛されました。現在では、モールドが少し簡素ぎみの印象を受けてしまいますが、これはフジミのキットの再現度が細かすぎるところに原因があるようです。少々古いキットのため、部品割りは簡素であり、作りやすいキットです。後部マストトップがかなり省略されているので、ある程度再現してやることで見栄えは断然良くなるでしょう。全体的な形状は良く実艦を表しており、かっちりした良いキットです。

<作例>
 個人的には1/700の縮尺では十分な再現度と思いますが、前記したとおり後部トップマストがほとんど省略された形状なので、実艦に沿って再現しました。この部分は同型艦「長門」とも異なる形状で、「陸奥」を特徴づける良い部分となります。また、前楼基部の指揮所窓が筒抜けなので、窓の支柱を再現しました。ここは「長門」と違いガラス窓ではなく解放状態なので、通常はキャンバスが張ってあります。

<感想>
 現在のアオシマキットでは、少し作りにくい部分があるので、このキットのように作りやすい製品の開発を願いたいです。また、縮尺が小さいので、あまり細かなパーツ割りは控えていただきたいものですね。そういった意味でも懐かしく、大変楽しめたキットでした。



旧日本海軍 給油艦 足摺 1943

- 2014年03月21日完成 -
<キット>
 現在では1/700 艦船キットは三つどもえの新製品発売となっています。タミヤ、ハセガワ、アオシマのWLおよびフジミとピットロードです。ピットロードは現在、外国艦の発売が中心となっており、製品は中国のトランぺッター社が金型製作をしています。しかし、このキットは久しぶりの国内開発製品で、マイナーな給油艦の中でも、特異的な形状で人気がある足摺型を新発売してきました。従来の国内製品同様の仕上がりで、スカイウェーブシリーズをよく作られた方なら、懐かしく製作できるでしょう。

<作例>
 特に資料も持ち合わせていないため、素組みで製作しました。追加工作は艦橋前の最上甲板を鉄張りからリノリウムに変更したため、伸ばしランナーでリノリウムおさえ金具を再現しました。

 船体は左右分割、前部マストはクレーン一体式なので、独特の分割をしており、少々組み立てが難しいと感じました。

 船体塗装は軽巡と同じ位の大きさなので、呉工廠グレーで塗装。艦載艇がワンポイントなので、丁寧に塗り分けしました。

<感想>
 現在のピットロードは、中国のトランぺッター社との提携により、大型艦の開発、販売を行っていますが、外国艦に関しては小型艦についても委託されていて、現在では新製品のほとんどはトランぺッター製です。しかし、マイナーな日本艦については国内開発製品として販売されることもあり、本キットは久しぶりの国内開発製品となります。キットの全体的な雰囲気はシリーズに共通のもので、パーツ整形の悪さもおなじみのものです。そういった意味で良くも悪くも懐かしいキットでした。



アメリカ海軍 航空母艦 CVL-22インディペンデンス 1943(竣工時)

- 2014年03月18日完成 -
<キット>
 もともとは、1/700 艦船キットを牽引してきた功労者、ピットロード(PT)のスカイウェーブシリーズにおいて、シリーズ№4のインディペンデンスキットとして発売されていたものでしたが、PTが契約していた金型保管業者の事情により金型が海外へ売却され、現在はドラゴンが所有しているようです。このため、不定期的にドラゴンより発売されていますが、ドラゴンの販売は毎回決まった生産数しか販売しないため、一度発売されたものは在庫数がなくなると絶版してしまうので気を付けましょう。

 このキットは金型が流出してからドラゴンで1996年に販売されたキットで、もともとのキットに新規開発した艦底パーツと飾り台を付属し、2番艦の「CVL-23プリンストン」として発売されたものでしたが、説明書および飾り台はネームシップの「CVL-22インディペンデンス」となっていて商品としては中途半端なものになっています。キット自体は現在でもエッチングを添付したり、一部金型を修正したりして同型艦として発売されていましたが、これらのキットの入手も在庫数限りのため、入手は難しいと思います。


<作例>
 上記のとおり、キット内容は明らかに「CVL-22インディペンデンス」なので、作例では「CV-23プリンストン」をCVL22として製作しました。また、選択式で艦首尾の備砲を変更できるため、CVL-22のみに装備され、竣工後に40㎜4連装機関砲に変更された5インチ単装高角砲を装備しました。

 船体はバルジラインで3分割された独特のパーツなため、組み立てで最も気を使う部分です。どうしても歪みや反りが出やすいため、いかにこれらの不具合が出ないように制作するかが、このキットのポイントになるでしょう。全体的な雰囲気は、実艦をよく表した好キットと思います。ただし、開発が古いキットなので、モールド表現も簡素でオーバー気味となります。

 塗装で悩みましたが、竣工時はMS-14の可能性が高いようなので、船体はオーシャングレー、水平面はデッキブルーで塗装しました。もしかするとMS-21塗装だった可能性も考えられます。

<感想>
 金型開発者のピットロードは、当時外国艦を精力的に開発していて、独特の雰囲気を持つキットを沢山発売していました。スカイウェーブよりこのキットが欠落してしまったことは非常に残念です。現在金型を所有していると思われるドラゴンでは、 1/350の「インディペンデンス」を開発しているのだから、この資料を使って是非 1/700のキットを新規開発してほしいものですね。(^_^;)



    
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