展示室Ⅱ 2015



旧日本海軍 駆逐艦 磯波 1941 (ヤマシタホビー製)

- 2015年11月10日完成 -
<キット>
 駆逐艦「吹雪」の1/700プラキットは、タミヤ、ピットロードからすでに発売されていますが、このキットは最後発キットで2015年発売されたものです。発売元は新興メーカーのヤマシタホビーで、主に艦船装備品を販売しているメーカーです。

 全体的にこだわった詳細なモールドで覆われており、既存のタミヤやピットロードキットよりもリアルな「吹雪」が製作出来ます。製作は全般的に難しいことはありませんが、艤装品にこだわりが見られてものすごく細かな部品割りになっている部分があり、この部分のパーツは小さいので、取り付けに苦労します。

<作例>
 作例では1番艦「吹雪」を9番艦「磯波」として製作しました。個人的な好みにより、喫水板を張りましして喫水ラインを再現しています。また、後部甲板はバリエーション展開のため、特Ⅱ型以降のものを再現しており、Ⅰ型特有の第二および第三砲塔旋回軌条が再現されていないため、第三砲塔基部のみケガきにより再現しています。塗装指示では前部および後部マストトップが黒色塗装指示ですが、軍艦色で塗装し、また、魚雷運搬軌条の中は軍艦色で塗装指示ですが、リノリウム色で塗装しました。

<感想>
 全体的に詳細なモールドが施されて、リアルな艦容を楽しめます。一部艤装品が細かく再現されていて組立づらいのが難点です。ダクトの開口部にモールドが無い部分があり、残念に思いました。



旧日本海軍 軽巡洋艦 天龍 1941 (新キット)

- 2015年09月08日完成 -
<キット>
 軽巡「天龍」の1/700プラキットは、ハセガワが1973年に発売したウォーターラインシリーズのキットが唯一でしたが、このキットが2015年に至り完全リニューアルされました。

 マイナー艦の部類に入る本艦は、詳しい情報が一般的に出回っていないため、キット開発に大変苦労したものと推察しますが、旧キットの弱点だった艦橋構造物が実艦に忠実となり、面目一新となって登場しました。

<作例>
 あまり一般に詳細な情報が知られていない艦ということもあり、ほとんど実艦の情報を持っていないため、全くの素組みです。

 最新キットというだけあって、素組みでもそこそこ精密感があり、キレがあるキットです。

<感想>
 ハセガワの組立説明書は大判なのが個人的に嫌いで、狭い空間で製作するのには不向きです。キットは開戦時と最終時を作り分けできますが、説明書の記載が少しわかりにくい感じを受けました。

 開戦時と最終時の選択式であるため、甲板の穴を塞ぐ指示がありますが、この作業は少し行き過ぎた指示だと感じます。…手間がかかりすぎるのです。もう少し製作にストレスがないようなキットの開発をして欲しいと思いました。



海上自衛隊汎用護衛艦 DD-115あきづき 2013

- 2015年08月28日完成 -
<キット>
 護衛艦「あきづき」の1/700プラキットは、アオシマとピットロードから発売されていますが、護衛艦キットの老舗、ピットロードではアオシマのキットとの差別化のためにフルハルキットとなっています。

 このキットは、ピットロードと提携している海外ブランドのトランペッター製キットです。最近のトランペッター製キットは、繊細なモールドとスライド金型の多用により、パーツがブロック状の塊になっていて作りやすさをアピールしている先進的なパーツ構成です。

<作例>
 個人的には、フルハルモデルはコレクション性に合わないと感じるために好まないのですが、アオシマ製キットも購入してしまったためにフルハル仕様で作ろうと考えました。現用艦の艦底部も独特の形状で面白いものです。

<感想>
 最新キットというだけあって作り易く、素組みでもそこそこ精密感があるキットですが、戦闘通路のデカールの色調が個人的に明るすぎて気に入りません。



旧日本海軍 駆逐艦 島風 1944 (最終時)

- 2015年08月11日完成 -
<キット>
 ピットロードの「島風」は、同社が展開する1/700艦船キットのスカイウェーブ大戦シリーズで登場した最新キットです。帝国海軍の駆逐艦キットを古くから精力的に開発していたピットロードでしたが、対陣するウォーターラインシリーズの「島風」がそこそこ出来が良かったために開発を控えて?いました。しかも、「島風」は同型艦がないためにバリエーション展開にも乏しく、キット開発費の回収が難しいアイテムだったことも重なっていたと思います。今回の開発では、海外メーカーのトランペッター社に生産委託されたキットのようで、帝国海軍駆逐艦キットでは初めてのものと思います。最近のトラペキットは繊細で精密なモールドですが、少しパーツ同士の合いが悪いものもあり、微妙です。組立は簡単になるようにかなり考慮されていますが、部品が細くて小さいため、組立には苦労させられる部分も少なくありません。

<作例>
 キットはフルハル仕様ですが、喫水ラインで艦底パーツと船体パーツが分かれていますので、ウォーターライン仕様にもできます。素組みですが、個人的な好みによりプラ板にて喫水板を製作しウォーターライン仕様としました。

 最新キットというだけあって、素組みでもそこそこ精密感が持てるものです。

<感想>
 ピットロードのスカイウェーブシリーズ駆逐艦キットは、シリーズで統一された仕上がりのキットだったのですが、今回の「島風」はトラペの製造ということで、今までの駆逐艦とは異なる表現のキットになります。武装や装備品は新シリーズのものが同封されていて縮尺的に実物に近くなりましたが、小型の模型では完成後のインパクトが薄れて物足らない感じを受けます。もう少しデェホルメしても良いのでは?と個人的には感じます。



旧日本海軍 軽巡洋艦 天龍 1940 (旧キット)

- 2015年07月10日完成 -
<キット>
 軽巡「天龍」の1/700艦船キットは、ウォーターラインシリーズを展開するハセガワから1973年に発売された本キットが、長い間艦船模型界において唯一のものでした。
 このキットは「天龍」を大まかによく捉えているキットで、こだわらなければ、許容範囲のものです。現在の製作が難しいキットに比べれば、ストレス無く簡単に組み立てられるキットです。

 キットの泣き所が艦橋構造物の形状で、厳密にいうと全く異なった形をしています。

<作例>
 2015年に完全リニューアルキットが発売されたことから、旧キットを比較目的で素組みしました。

 塗装指示にはリノリウム塗装がありませんが、それなりに実艦に近い塗装を目指しました。

<感想>
 現在の精密志向の艦船模型界では、この古参キットは過去の産物となってしまいましたが、本艦のように太平洋戦争当時、既に旧式化したマイナー艦をキット化しているウォーターラインシリーズの企画は、発売当時において画期的なものだったことがわかります。マイナー艦故に実艦の詳しい情報が一般的に知られていなかったことを踏まえると、この「天龍」を発売したハセガワの努力に敬意を称したいですね。



旧日本海軍 軽巡洋艦 北上 1945 (回天搭載母艦)

- 2015年07月08日完成 -
<キット>
 回天搭載母艦仕様の「北上」は、昔なら単艦のみでバリエーション展開に乏しいため開発コストの回収率が悪いというリスクを恐れてプラキット化が望めなかったもので、最近の艦船ブームによって2015年にフジミの特シリーズより発売されました。

 軽巡「北上」のキットはピットロードより重雷装艦仕様が発売されているのみなので、大変貴重なキットになります。煙突のジャッキステーのモールドが無いのと艦橋構造物と前部マストの各甲板が幾分すっきりし過ぎているのが気になります。


<作例>
 基本的には素組みですが、個人的な好みにより三連装機銃はキットのものを使わず、ピットロードの旧艦船装備セットより調達しています。また、艦底部は喫水ラインをプラ板の貼り増しで再現しました。

 キットの組立説明書に従わなかったのは、第三煙突より後部両舷にある単装機銃の数です。この部分は、残存する実艦の写真から推定して左舷は4基、右舷は5基としました。回天は実際に甲板上に露天搭載されたことはなかったようですが、模型としては満載したほうが映えますので、全部取り付けました。

<感想>
 キットは、フジミの1/700艦船模型シリーズ“シーウェイ特シリーズ”。最近では精密なモールドが売りのキットです。このシリーズは、旧日本海軍艦艇を精力的に開発しており、対抗するウォーターラインシリーズでは発売されていない艦艇をもランナップしていて、魅力の一つとなっています。この回天搭載母艦仕様の「北上」もその一つとなりました。こういった艦艇の開発は個人的に大変喜ばしいです。特長ある複雑な形状をきめ細やかなモールドで再現しており、特シリーズらしい仕上がりのキットです。



旧日本海軍 駆逐艦 天津風 1943

- 2015年05月07日完成 -
<キット>
 駆逐艦「天津風」は昨今話題の“艦これ”人気艦?のためか...、ウォーターラインシリーズのアオシマから古参キットで発売されていたものが陽炎型駆逐艦のリニューアルキット開発から11年後に「天津風」のリニューアルとして発売しました。普通に考えると今更?と思うのが普通です。個人的には外箱のBOXアートが旧作をそのまま引き継いでいるため購入しました。旧作は購入しなかったので、購買意欲を高めた原因です。

 キット内容的には大戦初期の内容で、開発当初のまま、新規開発されたものはありません。しかしながら、陽炎型駆逐艦の初回ロット品と比べると、当時不具合のあった後部マスト支柱や主砲塔取り付け位置の調整に改善跡が見られます。

<作例>
 基本的には素組みですが、探照燈をキット指定の70cmから90cmへ交換するのと、艦載艇の取り付け位置の変更、第二煙突前の機銃をキット指定の製作年時にするなら連装から三連装へ変更し、舷外消磁電路の追加と主砲塔側面、魚雷発射艦側面のモールド追加、舷側窓の追加を行っています。個人的な好みにより、各装備品の多くはピットロードの装備品に交換、同型艦の多いコレクションのため、船体舷側中央と艦尾にピットロードのキットから調達した艦名デカールを貼付して個艦をアピールしています。

<感想>
 キットが属するウォーターラインシリーズでは駆逐艦のリニューアルは消極的なのですが、シリーズに参画しているアオシマは自社製品のリニューアルを積極的に推し進めており、先代キットの一般的評価が悪かったことに加え、駆逐艦の中では人気艦の「陽炎型」ということが重なって2004年に発売され、シリーズの駆逐艦では最も早いリニューアルキットとなりました。発売当時の一般的評価も高く、旧キットの欠点を解消する好キットであるため、組立やすく、全体的な艦容も実艦に忠実に再現されています。但し、各構造物のモールドは現在の新キットに比べるとあっさり気味で、物足らない印象を感じるのも事実です。この場合、エッチングやプラ材で追加工作して楽しむことをお薦めします。



旧日本海軍 駆逐艦 島風 1943(竣工時)

- 2015年03月09日完成 -
<キット>
 ウォーターラインシリーズの駆逐艦「島風」は、1973年にタミヤから発売された古参キットとなります。発売当時、シリーズの駆逐艦キットの中では絶賛されたようですが、現在のキット成形技術においては、なんとか通用するレベルとなっています。キットの特長として、シリーズにおいて唯一ダイキャスト製艦底パーツを採用しています。これは、タミヤの野心的な挑戦であり、同型艦がない本艦を発売するにあたって価格を高めに設定するための販売戦略と個人的に推察しています。

 素組みでも実艦の艦容(シルエット)を十分に再現できますが、細かな表現は不足しており、また、部分的に最新考証に従うと修正が多くなります。これを気にするか…しないか…でキットの評価が大きく異なると思います。


<作例>
 昨今話題の“艦これ”で人気艦ということがきっかけとなり、改装を思い付いて作業しました。今回の改装目的は、10年以上前に製作した段階でリノリウム貼りの甲板を再現していなかったので、これを再現することでした。その他、武装パーツ類に手を入れ、少しでも今風に仕上げました。キットは最終時仕様のため、今回、竣工時仕様として探照燈台座を兼ねた機銃台を撤去する等の工作をしています。

<感想>
 WLでは第一期開発の最も古い部類に入るキットのため、モールドがあっさりしている点と当時の考証に誤りがあったことにより形状不良が気になるところですが、作り込むベースキットとしては今でも利用価値ありです。全体的な形状は良好で、シリーズ特有のシルエット重視を忠実に守っているキットです。そろそろ、リニューアルしてほしいです。



    
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