展示室Ⅱ 2016



旧日本海軍 一等駆逐艦 響 1941 (ヤマシタホビー製)

 - 2016年10月29日完成 -
<キット>
 一等駆逐艦「響」の1/700プラキットは、ウォーターラインシリーズのタミヤおよびスカイウェーブシリーズのピットロードから発売されていますが、2016年にヤマシタホビーにより最新キットが発売されました。

 「響」が属する特Ⅲ型一等駆逐艦は、特型(吹雪型)駆逐艦という24隻の大きなグループの駆逐艦の一つで、最終グループになります。タミヤの「響」は比較的簡単に製作できる古参キット、ピットロードの「響」は性能改善前や大戦初期から後期まで選択して製作できるコンバーチブルキットでしたが、各々弱点がありました。今回のヤマシタホビー製「響」は大戦前期仕様と的を絞った形で商品化しており、実艦の考証的には概ね正しいキットです。艦橋形状や船首楼甲板が長いこともキチンと再現されており、組み立ても難しくはないために好キットと呼べるでしょう。

<作例>

 作例は、当造船所お馴染みの素組みですが、艦体側面にはプラ角棒にて消磁電路を再現、前部マスト中段のステーをプラ棒にて追加しています。第二、第三砲塔の補強材モールドは、実艦では無かったようなのですが、キットの繊細なモールドを尊重してそのままとしています。

<感想>
 主砲塔の再現が個人的にカッコよく感じ、最も気に入っています。反対に魚雷発射管の形状に少し不満を持ちます。排気塔や装備品にもこだわりを持つヤマシタホビーの特長が良く出ているキットで、組み立て易さにも工夫が見られます。




旧日本海軍 軽巡洋艦 龍田 1942 (ハセガワ製)

- 2016年08月26日完成 -
<キット>
 軽巡「龍田」の1/700プラキットは、ウォーターラインシリーズのハセガワから1980年に発売されていた旧キットが長い間市場に出回っていましたが、2015年に完全リニューアルされた本キットが発売されました。

 天龍型軽巡は、現在では「艦これ」ゲームの爆発的なヒットにより若年層を中心によく知られている軍艦となりましたが、旧キット発売当時は戦闘艦艇においてはマイナー艦で、一部のマニア以外にはあまり知られていない艦だったため、実艦の解明作業も進まず、詳細な資料が不足気味で開発するにあたりかなりおおざっぱにせざる負えない状況だったものと推察できます。近年では、メジャーな艦より実艦の解明研究が広がって、マイナーな艦にも研究者の目が向けられており、天龍型も少しずつ詳細な実像が世間に伝わるようになってきました。このキットは最新の考証を盛り込んだものとなっています。

<作例>

 作例は、当造船所お馴染みの素組みで追加工作は一切なしです。シリーズが目指すシルエット重視の考え方を受け継ぎ、繊細なモールドを生かした全体のバランスが良い艦容を見事に再現しています。

 全体のバランスはスケールモデルの正統派として縮尺にこだわるハセガワならではの良さが十二分に出ています。

<感想>
 ハセガワの艦船模型は艦船モデラーのツボ外しという部分もあり、このキットでは、ボートダビットの太さと煙突頂部の再現、第一煙突まわりの小煙突が個人的に挙げられると思いました。但し、完成後の姿は、本当に美しいです...。



旧日本海軍 給糧艦 間宮 1942 (アオシマ製)

- 2016年07月21日完成 -
<キット>
 給糧艦「間宮」の1/700プラキットは、艦隊の支援が目的の艦という事もあり人気がなかったことから長い間発売されなかったのですが、最近人気のコンピューターゲーム「艦これ」のキャラクターによって若者に知られる艦となり、1/700艦船模型の老舗ウォーターラインシリーズ(WL)のアオシマから開発が発表されると、もともと支援艦の開発には強かったピットロードからも発売されました。

 WLでは、この艦の開発を一度企画した時期があったそうですが、シリーズ低迷のため開発されなかったようです。今回新たに陽の目を浴びたのは、「艦これ」ゲームの人気が絶大だったものと思われます。また、1/700艦船模型の有名な艦艇たちの開発や再開発が一段落して、新規企画を模索している時期であったことも影響しているように思われます。

 …ということで、2014年~2015年にかけて様々なバリエーション展開で複数発売されたアオシマ製キットですが、このうち通常バージョンのシリーズ№が付いたものが2015年7月に発売されましたので、購入しました。

<作例>

 作例は当造船所お馴染みの素組みで、追加工作はボートダビットに一部追加を施しましたが、これだけの見栄えとなるキットです。但し、パーツの成型精度が低いことや説明書の不備もあって、シリーズでも難易度が高い部類に入るキットの印象を受けました。

 なお、個人的な好みにより機銃はキット付属のパーツを使用せず、ピットロードの旧艦船装備セットのものを使用しています。

<感想>
 WLシリーズでは数少ない支援艦で、シリーズでは貴重な存在です。こういったマニアックな艦が今後シリーズに増えることを望みたいです。有名艦でも「加賀」とか金剛型あたりはリニューアルが必要だと思いますがね...。



旧日本海軍 軽巡洋艦 能代 1944 (フジミ製)

- 2016年05月15日完成 -
<キット>
 軽巡「能代」の1/700プラキットは、シーウェイ特シリーズのフジミから2015年に発売された本キットが唯一となります。但し、このキットはネームシップの「阿賀野」も選択式で作れるコンバーチブルキットで、「能代」単体のキットは残念ながら現在においても存在していません。

 1/700阿賀野型軽巡は、ウォーターラインシリーズの中でも好評なタミヤ製「阿賀野」と「矢矧」が長いこと存在しており、後発のフジミとしては、商品販売に関してかなり考えたものと推察します。阿賀野型は4隻ありますが、人気艦はタミヤが発売している「阿賀野」と「矢矧」であり、古くからの艦船模型モデラーにとっては未発売の「能代」と「酒匂」の発売を望むからです。つまり、艦船モデラー以外のモデラーが作る可能性が高いのが「阿賀野」と「矢矧」で、これらは購買数も期待できるのですが、マニアックな「能代」と「酒匂」は、マニアが好むため、この需要をどう反映させるか...です。本来ならば4隻を別々に発売できれば良いのですが、開発費の制限もあるのでしょう...、フジミの苦渋の選択が「阿賀野」と「能代」を選択式、後発で「矢矧」と「酒匂」を選択式という形になりました。これも、タミヤのキットの出来が良かったことが強く影響しているものと、個人的には思っています。

<作例>

 作例は、当造船所お馴染みの素組みで、追加工作は一切なしでこれだけの見栄えとなるキットです。しかし、製作は難易度が高く、説明書の不備もあって個人的な判断が必要となるところもあります。

 なお、個人的な好みにより単装機銃以外の機銃はキット付属のパーツを使用せず、ピットロードの旧艦船装備セットのものを使用しています。

<感想>
 特シリーズは、製作は苦なり、何とか完成させればカッコいい軍艦が手に入るというものです。



旧日本海軍 軽巡洋艦 龍田 1919 (ハセガワ製)

- 2016年04月04日完成 -
<キット>
 軽巡「龍田」の1/700プラキットは、ウォーターラインシリーズのハセガワから1980年に発売された本キットが長い間1/700のプラキットとしては唯一のものでしたが、2015年に完全リニューアルして新キットが販売され、旧キットである本キットは当店在庫のみの販売となっています。

 発売当時の少ない情報より製作されたキットのため、実艦とは大きく異なる部分も多いのですが、大雑把なモールドではあるものの、コダワリの表現も見られ面白い仕上がりとなっています。

<作例>
 作例は新キット発売後の製作ということもあり、旧キットである本キットを追加工作して実艦に近づける必要もなくなったため、全くの素組みです。

 但し、塗装のみはキット説明書どおりには塗装せず、考証を取り入れています。

<感想>
 古参キット特有の簡素なパーツ割りで、組み立て易く気軽に建造が楽しめます。最近のキットは詳細なモールドに伴いパーツ割りが複雑で細かいものが多く、今後に発売されるキットには本キットのように楽しく製作ができるものを強く望みたいです。



旧日本海軍 軽巡洋艦 最上 1938 (タミヤ製)

- 2016年02月01日完成 -
<キット>
 軽巡「最上」の1/700プラキットは、ウォーターラインシリーズのタミヤから2015年に発売されました。このキットはもともと2003年に発売された2番艦「三隈(重巡仕様)」のキットに4番艦「熊野(軽巡」のパーツを合わせて、一部新規開発パーツを足したものです。

 タミヤが、なぜ今になって軽巡仕様の「最上」を発売したのかはわかりませんが、シリーズ中の「最上」は最終時の航空巡洋艦仕様のため、軽巡仕様とするには「三隈」と「熊野」の主砲塔を購入する必要があったためかな?と思います。発売要望が高かった?のかな...。

<作例>

 作例は当造船所お馴染みの素組みで、追加工作は一切なしです。押さえるところは押さえ、省くところは省くといったタミヤ独自の1/700に対する概念が見えるキットです。
 但し、キット自体の開発年代が一昔前なので、古さも感じるキットでもあります。

<感想>
 タミヤのキットはモールドが抑え気味で物足らない感じを受けますが、全体のシルエットは美しくまとまった雰囲気を醸し出すことに驚かされます。

 個人的にはこの美しさと作り易さを崩さず、もう少しモールドを詳細に施していただけると絶賛するのですが...とわがままを言いたくなってしまいました。




    
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