展示室Ⅱ 2017



旧日本海軍 駆逐艦 早波 1943 (ハセガワ製)

- 2017年12月16日完成 -
<キット>
 1/700駆逐艦「早波」のキットは、ハセガワから発売されたものが新旧キットとして存在していますが、旧キットは在庫販売のみで徐々に消えていくでしょう。「早波」の属する夕雲型駆逐艦はピットロードからも発売されています。
 旧キットは、実艦の考証が詳しく解明されてきた現在のユーザー側知識に対応できず、実艦と異なる部分をかなり指摘されたものでしたが、最新キットでは、2017年での考証をしっかりと盛り込んだ良質のキットとして発売されています。

<作例>
 全くの素組みです。艦中央と艦尾の側面の艦名デカールは、大戦中の駆逐艦には表記されていませんでしたが、コレクション性を重視して再現しています。なお、艦名デカールはコレクション性を重視しているのか、キットにキチンと付属しています。

<感想>
 ウォーターラインシリーズの駆逐艦も、ゆっくりながらリニューアルが進んでおり、問題だった夕雲型駆逐艦も現在のレベルでコレクションできるようになったことは大変喜ばしいことです。子供の頃に製作したのを除くと、ウォーターラインシリーズの夕雲型は世間の評価が悪かったため購入を控えておりました。したがって、我がコレクションの夕雲型はピットロード製です。このキットは、前級の陽炎型の艦体を流用したバリエーションキットのため、全長が短いなどのが欠点あったのですが、実艦に正確なハセガワの新キットの登場は大変嬉しく思っています。



旧日本海軍 駆逐艦 綾波 1941 (ヤマシタホビー製)

- 2017年10月11日完成 -
<キット>
 1/700駆逐艦「綾波」のキットは、現在、タミヤ、ピットロード、そして今回発売されたヤマシタホビーと三社のものが存在します。
 三社の発売するキットとも“良い部分”と“悪い部分”があるキットですが、流石に一番新しいヤマシタホビーのキットが、実艦に最も忠実に製作可能なキットと思われます。

<作例>
 ほぼ素組みですが、前部マストは信号所甲板より上部を後方へ傾斜させています。これは、大戦前に艦橋頂部後方の測距艤を2mから3mのものに換装したため、測距艤との干渉を避けるためと言われています。キットでは測距艤は改装前の2mのもので、前マスト形状も改装前の形状になっています。

<感想>
 特型駆逐艦は、竣工から大戦突入までの期間が長い老齢艦のため、改装による艦影の変化が多く、キット化するのに苦労しているのだなぁ...と痛感させられます。キットは現在ユーザーから求められるレベルのモールド感をクリアーしている好キットですが、部品が細かい部分も少なくなく、改めて1/700の縮尺の意義を考えさせられる部分もあり、決して作り易いキットとは言い難いところが残念です。



旧日本海軍 軽巡洋艦(重雷装艦) 北上 1941 (アオシマ製)

- 2017年07月11日完成 -
<キット>
 1/700軽巡「北上」の重雷装仕様プラキットは、長らくピットロードから発売されたものが唯一でしたが、最近になり、ブラウザゲーム”艦これ”の人気から、アオシマが重雷装艦と回天搭載艦の両方の姿を開発し、ウォーターラインシリーズに加えてきました。元来、「北上」は球磨型軽巡なので、シリーズ開発担当はタミヤということになるのですが、球磨型軽巡からの艦容の大きな変化は、重雷装時の「北上」と「大井」の開発を他社でも可能にしたようです。

 バリエーションとして大戦中期仕様というべき高速輸送艦時代のキットも限定発売されており、ピットロードのレジンキットのみが発売されていた時代を知る私としては、現在のキット市場は大変恵まれており、驚きの状態です。

<作例>
 キットを説明書に従い、素直に組み立てました。塗装指示は自己流の考証を加味しています。

<感想>
 ウォーターラインシリーズで「北上」の重雷装艦キットが発売されるなんて、考えもしなかったため、大変驚いています。1/700の世界も成熟してきましたね。

 キットは、多少パーツの精度が悪いところもあり、パーツ同士の合いが悪いです。十分な仮組を行ってください。私は特に四連装魚雷発射管のシールドと本体の取り付けに気を使いました。




旧日本海軍 航空母艦 龍驤 1941 (フジミ製旧キット)

- 2017年06月13日完成 -
<キット>
 空母「龍驤」の1/700キットは、現在ではフジミとアオシマから発売されたものが市場に出回っておりますが、フジミ製は第一次改装後と第二次改装後の二つのバリエーションがあります。対するアオシマのキットは発売が最も新しいもので、第二次改装後の実艦に最も忠実なキットと言えるでしょう。今回製作したこのキットはウォーターラインシリーズのアオシマのキットの先代キットとなるフジミのキットで、開発は1973年の古参キットです。当時の少ない実艦資料を基に手堅くまとめた好キットです。現在市場に出回っているフジミのキットのリニューアル前のキットでもあります。

<作例>
 個人的には子供の頃に作ったものを省き、二作目となるもので、完全なストレート組みを行いましたが、飛行甲板に伸縮接手をケガキました。近年まで、飛行甲板前部は鉄張りが主流の知見だったのですが、現在では板張り説が主流となりました。作例では発売当時の鉄張り説のまま再現しています。

<感想>
 当時の少ない実艦資料を基にまとめた好キットですが、細かい部分の間違いはともかく、全体の雰囲気は良く表れたキットだと思います。



旧日本海軍 戦艦 三笠 1904 -黄海海戦時- (ハセガワ製)

- 2017年05月19日完成 -
<キット>
 戦艦「三笠」の1/700キットは、すでにフォーサイトが発売したものが市場に出回っておりますが、販売力ではウォーターラインのハセガワのほうがメジャーなので強いと思われます。すでに1/350のキット発売に伴う膨大な資料を持っていると推察するハセガワが、その資料を1/700においても遺憾なく発揮したキットであり、組み立て易さにも考慮した好キットです。

<作例>
 作例は当造船所恒例の素組みですが、キットでは日本海海戦時と黄海開戦時の仕様で選択できますので、今回は黄海海戦時を選びました。煙突基部の通風塔が再現される仕様です。また、後部甲板の艦載艇搭載有無も選択式となっており、作例では搭載した姿を再現しています。

<感想>
 作り易さにおいては、先発キットのフォーサイトより優れており、考証も進んでいるためお薦めのキットです。
 この頃の戦艦の持つレトロな雰囲気を、ハセガワの持ち味で正確に表している好キットです。




    
inserted by FC2 system