<実艦について>
- 航空母艦「龍鳳」の前身は、潜水母艦「大鯨」です。「大鯨」は戦時下に約3ヶ月間で空母に改装できるよう設計された空母予備艦で、飛行機格納庫やエレベーターも設置されていました。本艦は、昭和8年(1933年)度の追加計画により承認された1万トン型潜水母艦でしたが、建造時より大出力ディーゼル主機の不調と電気溶接構造の不備を抱える問題児でした。これらの不具合は当時の技術力不足によるもので、最新技術を採用した実験的意味合いが強い軍艦とも言えるでしょう。実際に軍艦として運用が可能になったのは1937年9月となりました。その後に太平洋戦争に突入し、1941年末に空母へ改装、計画予定3ヶ月以上の歳月を費やして約1年後の1942年11月に改装工事が完了しました。米空母「CV-8ホーネット」の東京空襲により、改装中に被害を受けた艦艇としても有名です。
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- 1941年12月20日、横須賀工廠で空母への改装工事が開始されます。
- 1942年11月30日、改装工事終了、第3艦隊付属に編入されます。
- 1942年12月11日、横須賀を出港し、トラックへ向かいます。
- 1942年12月12日、八丈島付近にて米潜水艦の雷撃を受け損傷し、横須賀工廠にて修理を受けます。
- 1943年6月12日、第3艦隊第2航空戦隊に編入されます。以後、シンガポール、マニラ、トラックなどに入港し、訓練を続けます。
- 1944年6月19日、マリアナ沖海戦に参加し、20日に小破します。本土へ帰港後、呉工廠にて修理を受けます。
- 1944年7月10日、第3艦隊第1航空戦隊に編入されます。
- 1944年8月10日、第 3艦隊第 4航空戦隊に編入されます。
- 1944年11月15日、連合艦隊第 1航空戦隊に編入されます。
- 1945年3月19日、呉にて米空母艦上機と交戦して損傷します。
- 1945年6月1日、特殊警備艦となり、陸岸に繋留されたまま防空砲台となって終戦を迎えます。
- <キットについて>
- 旧日本海軍艦艇のみを考えると、今ではウォーターラインシリーズ(WL)に次ぐラインナップを誇るフジミのシーウェイ特シリーズ。発売キット数ではピットロードのスカイウェーブシリーズ(旧日本海軍艦艇)をすでに追い越してしまった充実度です。
- その特シリーズでは、新たに開発したパーツを追加して軍艦の改装による変化に対応したキットを積極的に発売しています。「龍鳳」では昭和20年の最終時仕様と昭和17年の竣工時仕様に加え、昭和19年の仕様も追加発売されました。また、キットに合わせたエッチングの別売りや、飛行甲板を手軽に仕上げるシールも発売され、ユーザーのリアルさ追求に対応しています。
- キットは、多数の細分化されたパーツにより実艦の形状をできるだけ再現しています。どちらかというとマニアックなキットで製作が難しいのですが、価格は低めに抑えられています。飛行甲板の着艦用制動装置や滑走制止索のパーツやモールドが全く無く、いかにもエッチングを利用してくださいという感じに受け取れる部分に不満を持ちます。また、リアルさを追求するため製作時のストレスも多く、成形のダルさもそこそこ目立つところが残念です。
- これらの困難を乗り越えることができれば、実艦に添ったスケールモデルを手にすることができるでしょう。
- <作例について>
- ほぼ素組ですが、飛行甲板の滑走制止索と着艦制動索の再現がありませんので、プラ棒にて追加工作しています。船追加工作は以下のとおりです。
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- 倒立式無線格中段の展開線はキット説明書の向きが間違っています。
- 飛行甲板上の滑走制止索をプラ角棒にて再現。
- 飛行甲板上の着艦制動装置をプラ丸棒にて再現。
- 艦載機は個人的な好みによりWLのものを使用しました。
- 船体は大きさから横須賀工廠グレーで塗装。飛行甲板はGSIのMr.カラータン色を使用し、エナメルカラーのブラウンでインパクトをつけました。リノリウム色はGSI の艦船カラーよりリノリウム色を調達。艦載機はキット付属のものは使用せず、WLの前期セットより零式21型艦戦と97式艦攻を調達しました。艦上機の塗装は、零式が灰緑色と97艦攻は上面緑色、下面灰色のツートン迷彩。
- <建造について>
- 建造工程については、下記の艦船アイコンをクリックしてください。 ↓
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