「阿武隈」 旧日本海軍
 秋月型防空駆逐艦6番艦
掲載:2006年11月05日
修正:2015年04月30日
 若月(わかづき)1944 <アオシマ製>
↑左舷前方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑右舷後方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)

<使用キット>
  • ウォーターラインシリーズ 441 日本駆逐艦「涼月」  1/700  アオシマ 1999年発売

<実艦について>
 秋月型 6番艦として、1943年 5月31日に三菱長崎造船所で竣工しました。第11水雷戦隊に編入されます。同年11月まではトラック付近で行動。11月 2日のブーゲンビル島沖海戦に参加、11月12日に至近弾を受け損傷、横須賀へ入港し修理。

 1944年 2月には僚艦「初月」とともに空母「翔鶴」、「瑞鶴」を護衛、 3月には空母「大鳳」を護衛します。 6月にはマリアナ沖海戦に参加し、「大鳳」の直衛を勤めます。 6月28日には軽巡「大淀」を護衛して横須賀へ入港。10月にはレイテ沖海戦に参加し機動部隊の護衛に従事。同年11月にオルモック輸送作戦に参加しましたが、敵機の爆撃を受け沈没しました。

<キットについて>
  1/700秋月型のインジェクションキットは、ウォーターラインシリーズ(WL)のアオシマ、スカイウェーブシリーズ(SW)のピットロードおよびシーウェイモデル( SWM)のフジミから発売されています。

 WLキットは現在実施されているリニューアルの初期作品にあたり、1992年にフジミ製品がWLシリーズより欠落した穴埋めとして開発されました。約10年前となる発売当時の感覚ではシャープなキットでした。現在では、モールド不足が目に付くキットです。また、付属の小型艦艇用艤装パーツセット内に本来使用するべきものが不足していることから、短艇や探照灯などに実艦の装備と違った取り付け指示が見受けられます。WLでは秋月型が 6隻(秋月,照月,初月,涼月,冬月,宵月)発売されており、このほかに限定版として 2隻(霜月,春月)が発売されたことがありました。前記の 6隻は 3回の発売( 1回につき 2隻)によってラインナップしましたが、「初月」と「涼月」はこの 3回の発売のうち、最後に発売された 2隻となり、「初月」は1944年、「涼月」が1945年の姿を現しています。

 今回は「初月」を後部の高射指揮装置を撤去していない頃の1943年時仕様、「涼月」を 6番艦「若月」として1944年10月頃のレイテ沖海戦前の対空機銃増備状態として建造しました。WLキットでの建造は、前記のとおり、探照灯や短艇を別途調達する必要があります。WLの大型艦艇用艤装パーツがあれば、特に問題ありません。

 なお、「涼月」のキットは1945年頃を再現する場合、艦橋形状が実艦と異なっており、この部分が気になるところです。以前、限定版として実艦に正確な形状の艦橋パーツが入っていた限定版が発売されたことがありました。

<作例について>
 「涼月」のキットを使い、1944年10月のレイテ沖海戦前の「若月」としました。僚艦「秋月」のレイテ沖海戦時を参考とすると、海戦時には艦載艇を一部陸揚げし、空きスペースには単装機銃を装備していたようです。したがって、作例では短艇類をそのまま搭載している姿で単装機銃類を装備しているレイテ沖海戦前としました。機銃配置は「若月」の装備位置が不明なため、僚艦「秋月」の装備位置となっています。

 作例の最もアピールしたい部分は、後部高射指揮装置が25o三連装機銃になっていることと、艦尾に爆雷投下台が装備されていることです。1943年時の「初月」と比べていただければ、艦容の変化がわかると思います。追加工作については「初月」とほぼ同じなので、違うところのみ以下に示しました。
  • 0.25o× 0.5oプラ棒により、舷外消磁電路を再現しています。

  • 煙突後部の既存の機銃座には連装機銃を装備します。

  • 機銃類はPTの武装パーツを使用。

  • 0.2o真鍮線により、甲板のリノリウム押さえ金具を再現しています。

  • 艦橋頂部の94式高射指揮装置はリニューアルパーツを使い、下部を削除して使用しています。

  • 後部の高射指揮装置は測距儀がなかったようなので、両脇のものを削り落としています。

  • 艦尾の爆雷投射機と装填台はピットロード(PT)の武装パーツに置き換えています。

  • 船体側面の窓を 0.6o径ピンバイスにて再現しています。

  • 探照灯は90pのものが正解です。WLの大型艦艇用武装パーツより調達します。

  • 短艇類も9mカッターと内火艇が正解ですので、WLの大型艦艇用武装パーツより調達します。

  • 主砲塔は砲身間のフレームが不足しているので、プラ棒にて再現。砲塔側面の窓も再現しました。また、砲身はちょっと実艦と違いすぎるので、 0.5oプラ棒に変更しました。

  • 艦尾形状はプラ板とパテにて末広がりに修正しています。

  • 船体中央部の機銃台下部の方位測定室が再現されていないため、プラ棒にて再現。探照灯下部の後部操舵室も円柱ではなく四角柱なので、プラ板で形状変更しています。

  • 前マストは 0.4oプラ棒を追加し、実艦に近づけました。

  • 艦尾の爆雷投下台はPTの武装パーツを使用しています。

  • 単装機銃はPTの武装パーツを使用しています。

  • 前部マストトップの21号電探は、ハセガワのエッチングパーツシリーズより調達しました。
 船体や上部構造物は、我が造船所の駆逐艦色である舞鶴工廠グレーを使用せず、軽巡クラスの大きさなので呉工廠グレーで塗装しました。リノリウムはPT社の艦船カラーのリノリウム色で塗装、そのほかはすべて GSIクレオスの Mr.カラーを使用しています。

     
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