旧日本海軍
 陽炎型一等駆逐艦9番艦
掲載:2015年05月13日
修正:2017年08月06日
 天津風(あまつかぜ)1943 <アオシマ製>
↑ 左舷前方からの写真
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑ 右舷後方からの写真
(画像はクリックすると大きくなります。)
<使用キット>
  • ウォーターラインシリーズ 458
    日本駆逐艦「天津風」
    1/700 アオシマ 2015年発売

<実艦について>
陽炎型9番艦として、1940年11月6日に舞鶴工廠で竣工しました。陽炎艦19隻中、唯一、丙型駆逐艦「島風」に搭載予定の新型高温高圧缶を試作搭載しています。同型艦「初風」、「雪風」、「時津風」と共に第二艦隊第16駆逐隊に編入されます。

開戦時は空母「龍驤」航空隊の支援、ダバオ攻略作戦などに参加し南方で活躍。スラバヤ沖海戦では両艦と共同で米潜水艦2隻を撃沈しています。第二次ソロモン海戦では、米空母サラトガにより撃沈された「龍驤」乗組員の救助で活躍。南太平洋海戦では空母「翔鶴」の護衛、第三次ソロモン海戦において米駆逐艦「DD-599バートン」を雷撃により撃沈しますが、米潜水艦「レッドフィン」の雷撃により船体前部1/3を失い大破。駆逐艦「朝顔」に曳航されてサイパンにて応急修理、シンガポールにて仮艦首と仮艦橋を設置して輸送船団護衛を行いながら本格修理のため本土に向かいます。しかし、米爆撃機B-25の爆撃を受けて大破し、アモイ島で座礁後1945年4月10日に乗組員の手により爆破処分されました。

(参考:キット説明書)

<キットについて>
1/700「陽炎型」のプラキットは、旧日本海軍駆逐艦としては人気の艦ということもあり、スカイウェーブシリーズ(SW)のピットロードとウォーターラインシリーズ(WL)のアオシマ、シーウェイモデル特シリーズ(SWM)のフジミから発売されています。開発年代的にはSWキットが最も古く、次いでWLキット、SWM キットの順番となります。この中で組立易さではWLが最も容易なのですが、完成時の艦容はWLよりもSWMの方が優れているようです。

このWLのキットは、1973年に発売された旧キットを2004年にリニューアルしたもので、旧キットの悪評をすべて解消する好キットでした。現在では、最も新しいSWM キットがベストと言われていますが、このSWM キットはパーツ構成が複雑で作り難いため、現在においてもWLキットが手軽に製作できるキットとして一番であると考えています。初版が発売されてから11年後になり登場した「天津風」。実は、旧キットのラインナップは「陽炎」、「不知火」、「天津風」、「雪風」の4隻だったのですが、「陽炎」と「雪風」のみが新旧交代し、その他はしばらく並列して発売されていました。新キット初版では、「陽炎」、「早潮」、「雪風」、「浜風」、「舞風」、「秋雲」の6隻が登場し、「陽炎」と「早潮」が1941年開戦前後仕様、「浜風」と「舞風」が大戦前半1942年後半の機銃増備仕様、「秋雲」が大戦中期1943年仕様、「雪風」が大戦後期1945年仕様でつくり分けられていました。その後、「磯風」がラインナップに加わると「早潮」がラインナップより外れ、6隻体制で販売、今回「天津風」が新たに加わり、7隻体制で発売されています。

初版時に不具合のあった、後部マストの形状不良と主砲塔の取り付けダボの高さ調整ができないことは、現在のキットでは修正されていて問題ありません。但し、2015年に発売されたキットとしては開発が2004年のままの内容なのでどことなく物足らない印象を受けてしまいます。反対に考えれば、現在の複雑で難しいキットより気軽に楽しく作れる好キットであり、今回私も改めてこの事の重要さを感じました。モールドがあっさり気味なことは、懐かしい旧キットのBOXアートをそのまま採用してかっこ良さを醸し出しているので、素直にBOX アートに惹かれて購入したと思い、割り切るのが健康的です。

<作例について>
「天津風」キットの年次仕様は、両艦「浜風」(現在絶版)や「舞風」と同様の1942年後期仕様のようですが、本当に1942年に艦橋前部に機銃を装備したのかは疑問が残ります。今回は、より確実に機銃増備をしたと考えられる1943年仕様で建造しました。全く素組みですが、いくつかの追加工作と修正を行っています。これらの作業を以下に示します。
  • 第二煙突脇の機銃は連装ではなく、三連装に変更しています。機銃は、我が造船所恒例のピットロード製艦船装備セットの旧シリーズより調達しています。
  • 船体は、モールドが無いムクな状態なので、舷側窓を0.6oピンバイスにてさらって表現しました。
  • 船体上部外周は、消磁電路を0.5o×0.25oのプラ角棒にて再現しています。形状は、艦スペの駆逐艦系統bSに記載されている佐藤氏の図面を参考とさせていただきました。
  • 主砲塔の側面にはモールドが無いため、補強材を伸ばしランナーにて、窓をピンバイスでさらって再現しています。
  • 魚雷発射管は、キット付属の装備セットのものでは、厳密にいうと秋月型駆逐艦のものになるため、ピットロードの装備セット(旧シリーズ)より調達しています。側面にはモールドがないため、扉をプラ板の切り出しにて再現し、ステーを伸ばしランナーにて再現しました。
  • 艦尾甲板上には、左右に爆雷投下台上の爆雷が装備されているので、0.8oプラ丸棒を切り出して再現しています。
  • 艦尾中央部の爆雷投射機と装填台も個人的な好みによりピットロードの艦船装備セットから調達しました。
塗装は、すべてGSIクレオスのMr.カラーを使用。船体は、我が造船所の駆逐艦色である舞鶴工廠グレーで塗装しました。リノリウムは艦船カラーのリノリウム色で塗装、艦底の喫水板を艦底色、煙突頂部は艶消し黒で塗装しています。

なお、私的好みで舷側中央と艦尾の艦名デカールを貼付していますが、大戦中は塗りつぶされていました。デカールはピットロード社の陽炎型駆逐艦キットより調達しています。

<建造について>
建造工程については、下記のアイコンよりお入ください。 ↓
 

      
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