<実艦について>
- 特型駆逐艦24隻を建造した旧日本海軍は、他国が大型艦隊型駆逐艦の建造競争を行うことを恐れ、これ以上の隻数を建造することを控え、次期駆逐艦は1,400tクラスの中型艦隊型駆逐艦とすることが決まっていたようで、この方針に加え、ロンドン海軍軍縮条約によって日本の駆逐艦保有量は1,500t以下の駆逐艦しか建造できなくなったことと補助艦保有量は対米7割とされたことにより、少ない隻数を強力な武装でカバーする”個艦性能優越主義”によって、小さな船体に強力な武装を施した初春型駆逐艦が誕生しました。
しかし、1番艦「初春」と2番艦「子日」が竣工した時点で復原性能不良を暴露し、急遽改修工事を行います。その後に「友鶴事件」、「第四艦隊事件」が発生して大規模な性能改善工事を行い、兵装は削減されて平凡な性能艦となりました。
「夕暮」は初春型6番艦として1935年 3月30日に舞鶴工廠で竣工しました。4月1日、連合艦隊第 2航空戦隊第 9駆逐隊に編入します。11月15日には第1艦隊第1水雷戦隊に編入されます。1936年4月〜11月まで船体補強工事を実施。
1942年1月21日、アンボン攻略作戦に協力。2月15日、ポートダーウィン攻撃に参加。2月24日、インド洋機動作戦に参加。5月1日、機動部隊直衛を実施し、7日にサンゴ海海戦に参加。27日にはミッドウェー作戦に警戒部隊として参加します。
1942年7月14日、第2艦隊第4水雷戦隊に編入されます。8月27日、オーシャン島攻略作戦に参加。9月よりガダルカナル島輸送作戦やレカタ輸送作戦に従事します。11月13日、第三次ソロモン海戦に参加し、戦艦「比叡」の救援に従事します。
- 1943年7月12日、コロンバンカラ沖海戦に参加し、16日にコロンバンカラ輸送作戦従事中、敵機の爆撃を受け沈没しました。
<キットについて>
- 1/700「初春型」のプラキットは、性能改善後の姿がウォーターラインシリーズ(WL)のアオシマとスカイウェーブシリーズ(SW)のピットロードから発売されています。
- WLのキットは船体形状が実艦と大きく異なるため、一般的な評価はあまりよくなかったのですが、2010年秋に竣工時の姿で新キットが発売され、さらに2011年春に大戦仕様の新キットが発売されて事実上完全リニューアルされました。新キットの評価は好評で、作り易さと精密さを兼ね備えたものとなっています。
一方、SWのキットはシリーズでおなじみの力強い詳細なモールドで仕上がっており、好感が持てます。今回はSWキットを建造しました。SWキットでの建造は特に注意点はありません。各パーツ類もWLキットより少し太めなので、折れ易いことはないと思います。
<作例について>
- 「夕暮」は大戦前期仕様で建造しました。ほぼ素組みですが、以下の追加工作を行なっています。
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- 艦名デカールを「初霜」キットより調達しています。
- 艦尾の爆雷装填台と投射機は、両舷投射式 1台から片舷式 2台へ変更しています。
- 前部マストトップの横桁と斜め桁はキットパーツを切り取り、細いプラ丸棒にて再現しました。
- 船体や上部構造物は、一般的な旧日本海軍軍艦色、横須賀工廠グレーである GSIクレオスの Mr.カラー軍艦色2を使用しています。リノリウムはPT社の艦船カラーのリノリウム色で塗装、そのほかはすべて
GSIクレオスの Mr.カラーを使用しています。
なお、私的好みで舷側中央と艦尾の艦名を表記しておりますが、大戦中は塗りつぶされていました。
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