駆逐艦 響 旧日本海軍
 吹雪型一等駆逐艦22番艦(特型V型2番艦)
掲載:2017年03月23日
修正:2019年12月31日
 響(ひびき)1941 (開戦時仕様)  <ヤマシタホビー製>
↑ 左舷前方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑ 右舷後方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
<使用キット>
  • 艦船模型シリーズ NV2
    日本海軍駆逐艦「響」
    1/700 ヤマシタホビー 20016年発売
 

<実艦について>
吹雪型一等駆逐艦(特型駆逐艦)は、ワシントン軍縮条約により戦艦を始めとする主力艦等の保有制限を受けた旧日本海軍が、条約の制限を受けない補助艦艇の整備を強化する方針を打ち出したことにより建造された新型駆逐艦です。 凌波性能を追求した艦形による良好な航海性能と、艦橋を露天式から密閉式に改めるなどの居住性の改善、排水量に対して重武装の本型の出現は、当時の列強海軍駆逐艦に衝撃を与えました。

太平洋戦争では艦隊戦が少なかったこともあり、駆逐艦は主力艦や輸送船の護衛や駆逐艦そのものによる物資輸送など、最前線において活躍することが多かったため、損害も多く、本型は建造された24隻の中で終戦時まで残存した艦のは2隻(潮、響)のみでした。


V型で艦容が他の吹雪型と大きく異なるのは、“煙突”と“艦橋構造物”です。吹雪型駆逐艦はT型(吹雪型)当初から重量が計画より 200トンほど超過しており、このうち機関関係だけで 100トン近くの超過があり、これは当時の艦本第5部長(造機部長)が懲罰を受けるほどの大きな問題でした。そこで缶(ボイラー)に空気余熱器を採用して効率を上ることにして、4基だった缶を3基に減らすことを画作しました。空気余熱器はU型(綾波型)の「漣」に搭載してテストされ、その結果が良好だったため、昭和2年度計画の最後の4隻(V型または暁型)は機関の重量軽減を目的として急遽缶を3基に変更しました。これによりU型までは二本の煙突に各二基の缶室がバランス良くついてましたが、前部煙突の缶室が一つ減少したため、一番煙突が細くなり、V型の外見上の顕著な特徴となりました。
また、艦橋構造は遠距離戦闘の確立によりシステムが複雑化し、光学兵器の精度向上にともなって各指揮所が肥大化したため、U型より更に大型化しました。魚雷発射管に防盾を竣工当時から標準装備したのもV型が最初です。この状態は艦の上部構造物の重量増加と艦底部の重量減少を招き、艦自体の復元性能をさらに悪化させていました。そのような中、友鶴事件および第四艦隊事件が発生し、旧日本海軍艦艇は復元性能の向上を図るべく性能改善工事を実施し、V型は艦橋の小型化、魚雷発射管位置の変更等を実施、工事前後の艦容が大きく変貌した特型駆逐艦となりました。

以下に、簡単な艦歴を記します。
  • 1933年 3月31日、舞鶴工廠で吹雪型22番艦(特V型2番艦)として竣工しました。竣工後に第 6駆逐隊に編入されます。
  • 1940年11月15日には第1艦隊第1水雷戦隊に編入されます。以降、1942年6月まで「暁」と行動を共にし、6月12日にキスカにて被爆により損傷。同年11月から1943年2月まで空母「大鷹」の護衛任務に従事します。
  • 1943年7月にはキスカ撤退作戦に参加、以降、1944年4月まで輸送作戦や空母「飛鷹」、「龍鳳」、「海鷹」、「千代田」や船団の護衛などに従事します。同年6月にマリアナ沖海戦に参加。
  • 1944年9月に高雄付近にて雷撃を受け損傷。第2艦隊第2水雷戦隊第7駆逐隊に編入されます。
  • 1945年3月19日には広島湾にて敵空母機と交戦し、29日には周防灘にて触雷してしまい呉で修理します。7月10日に、第1海上護衛隊第105戦隊に編入され、終戦を迎えました。
(参考:フリー百科事典ウィキペディア)
<キットについて>
ヤマシタホビーが発売する艦船模型シリーズ第二弾。特型駆逐艦を開発販売しているヤマシタホビーがT型の「吹雪」の後に発売したバリエーション展開キットですが、艦体の船首楼甲板や武装、艦橋や煙突などの構造物もT型と異なる部分を再現しています。

特に、既存キットのタミヤ製やピットロード製では違いが出せなかった、船首楼甲板の長さの違いをキチンと再現していることは特筆すべきことで、短船首楼の「吹雪」と違い船首楼後端が長く再現されています。


現在、U型の「綾波」が発売され、T型からV型までの各形状が網羅された形となりましたが、今後Ua型の発売が噂されています。タミヤやピットロードのキットのように大戦後期仕様のバリエーション展開キットを発売するのか、また、ピットロードのようにV型の性能改善工事前のキットを発売するのかは不明ですが、せっかく開発したキットなのだから、なるべく多くのバリエーション展開をお願いしたいところです。

<作例について>
キットは特V型2番艦の「響」を再現していますが、これをV型ネームシップの「暁」として製作しています。「暁」は武装強化前に沈没していますので、キット仕様のまま製作しました。

なお、箱裏の塗装指示では、前部および後部マスト上方が黒色指定ですが、個人的な解釈により艦体色で塗装しています。また、キットは喫水線より上を再現する洋上モデルであり、ウォーターラインシリーズなどに多くみられる喫水線が再現されていないため、個人的な好みによりプラ板を艦底部に貼り増しして喫水線を再現しています。
  • 前部および後部マストトップは艦体色で塗装。
  • 艦体側面にプラ角棒で舷外消磁電路を再現しています。
  • 艦底にプラ板を貼り増しして、喫水線を再現しています。
艦体や上部構造物は、我が造船所の規定駆逐艦色である舞鶴工廠グレーで塗装しました。その他の部分もGSIクレオスのMr.カラーを使用しています。

作例では艦名を貼付していますが、大戦時には塗りつぶされていました。コレクション性を考慮して再現していますので、ご了承ください。

<建造について>
建造工程については、下記のアイコンよりお入りください。↓
 

      
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