駆逐艦 薄雲 旧日本海軍
 吹雪型(特型T型)一等駆逐艦7番艦
掲載:2009年07月12日
修正:2019年12月25日
 薄雲(うすぐも)1944 <タミヤ製>
↑ 左舷前方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑ 右舷後方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
<使用キット>
  • ウォーターラインシリーズ 404
    日本駆逐艦「初雪」
    1/700 タミヤ 1971年発売


<実艦について>
  • 1928年7月26日、石川島造船所にて第41号駆逐艦(特T型 7番艦)として竣工。 8月1日に第41号駆逐艦から「薄雲」へ改名します。
  • 1928年12月1日、第 2艦隊第2水雷戦隊第12駆逐隊に編入されます。
  • 1933年2月1日、第20駆逐隊に移動、11月15日には再び12駆逐隊へ移動します。以降、主に南支方面で行動します。
  • 1938年12月15日、第2艦隊第2航空戦隊第12駆逐隊に編入されます。北支や南洋方面で行動します。
  • 1939年5月1日、第1艦隊第3水雷戦隊第12駆逐隊に編入されます。南支方面で行動しますが、南日水道にて触雷し大破します。
  • 1942年8月28日、第21駆逐隊に仮編入され、キスカ島やアッツ島輸送船団護衛などに従事します。
  • 1943年4月1日、第9駆逐隊に編入され、主にキスカ島撤退作戦で活躍します。
  • 1944年3月31日、第18駆逐隊に移動し、小樽と大湊間で行動します。7月7日に択捉島北方にて米潜水艦「スケート」の雷撃を受け、沈没してしまいました。

<キットについて>
タミヤがウォーターラインシリーズ(WL)35「初雪」として1971年に発売したキットで、発売当初は既存キットに比べてシャープなキットとして大好評だったそうです。

このキットは、特T型の大戦後期仕様で発売されていますが、「初雪」は対空兵装強化工事を受けずに戦没していますので、キットでは考証的には間違っています。特T型で対空兵装強化仕様となったのは「薄雲」と「白雲」と言われており、さらに電探を取り付けられたのは「薄雲」が確実で、「白雲」は不確実のようです。

厳密にいうとキットの煙突はネームシップの「吹雪」のみの形状で、他のT型は煙突トップの後部への傾斜が緩やかと言われております。また、船首楼甲板後端の長さは各艦で異なっており、「吹雪」の竣工時はキットのままですが、性能改善工事を受けた後の各艦はキットより延長されていたようです。しかし、詳細は不明で各艦によって長さが異なるようです。キットを楽しむには、そういった事情も踏まえ、あまり神経質にならないほうが無難と考えます。現在では武装パーツが新規に開発されたものを付属してWLのシリーズナンバーが改定され、404として発売されています。

しかしながら、開発されてから35年が経過して金型が疲弊しているようで、最近流通しているキットの主要パーツである船体や煙突などは、整形状態があまり良くありません。また、二度にわたり改定して価格が上昇したため、キットの出来に対する価格は割高の印象が強くなりました。リニューアルが待たれるキットです。

<作例について>
今回、「初雪」のキットを同型艦「薄雲」とし、最終時の1944年7月という想定で建造しました。「薄雲」は特T型で最後に戦没した艦です。工作はほとんど「吹雪」に準じていますが、「薄雲」と異なる部分のみ以下に示します。
  • 0.25o×0.5oプラ棒により、舷外消磁電路を再現しています。
  • 大戦後期では不沈対策のため、舷側窓の多くは蓋を付けられました。正確な位置は不明なので下段の窓すべてに0.5oのポンチで抜いたプラ板を接着しています。
  • 主砲砲身はPT製武装パーツのものを使用しました。
  • 前楼中段の22号電探をリニューアルパーツより、後楼の13号電探はPT製武装パーツに交換しました。
  • 爆雷投下軌条、Y型爆雷投射機、装填台はPT製武装パーツより調達しました。
  • 魚雷発射管はWLリニューアルパーツより調達しました。
  • 第二煙突直前には機銃座がありますが、キットでは形状不良たため、PT製特型キットのパーツを調達しました。
  • デカールはPT製「白雲」キットより調達しました。
そのほかの追加工作は「吹雪」と同様なので省略します。船体や上部構造物は、我が造船所の駆逐艦色である舞鶴工廠グレーで塗装しました。リノリウムはPT艦船カラーのリノリウム色で塗装、そのほかはすべてGSIクレオスのMr.カラーを使用しています。

なお、私的好みで舷側中央と艦尾の艦名を表記しておりますが、大戦中は塗りつぶされていました。

     
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