駆逐艦 子日 旧日本海軍
 初春型一等駆逐艦2番艦
掲載:2011年11月10日
修正:2014年02月18日
 子日(ねのひ)1933  (竣工時仕様) <アオシマ製新キット>
↑左舷前方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑右舷後方からの眺望
(画像はクリックすると大きくなります。)
<使用キット>
  • ウォーターラインシリーズ限定SD版
    日本駆逐艦 「子日」
    1/700 アオシマ 2010年発売

<実艦について>
「子日」は初春型6隻の2番艦として、1933年9月30日に浦賀船渠で竣工しました。前作の特型駆逐艦は、基準排水量1,680t、速力37ノット、12.7cm連装砲三基6門、61cm魚雷三連装発射管三基9門、搭載魚雷18本という駆逐艦として超一流の戦闘能力をもち、竣工当時の列強海軍を驚かせた大型艦隊型駆逐艦でした。

この特型を二個水雷戦隊分の24隻完成させましたが、このことが列強間に大型駆逐艦建造闘争を誘うことを恐れた旧日本海軍は、以後の艦隊型駆逐艦を1,400t クラスの中型駆逐艦建造として、大型駆逐艦建造を控える方針を固めました。また、ロンドン海軍軍縮条約によって日本の建造できる駆逐艦は1,500t以下に制限されました。

これら二つの要素により第一次海軍軍備補充計画(通称@計画)によって1,400t 型駆逐艦12隻の建造が承認されて、初春型駆逐艦が誕生することになります。しかし、実際には6隻のみが初春型となり、残りの6隻は白露型となりました。

ロンドン海軍軍縮条約下で建造された初春型中型駆逐艦は、前作の特型大型駆逐艦と同等の性能を求められて、個艦優越の設計傾向が強くなりました。その結果、1,400t の排水量に12.7cm砲5門、新採用の次発装填装置付き61cm三連装発射管3基を搭載し、その他多くの新装備を採用した重兵装艦として計画されました。

1,400t の小さな船体に重兵装を搭載したため、スペース不足で3番魚雷発射管を一段高く装備、諸指揮装置や艦橋構造物、各艤装品が大型化したため、重心の上昇を激しく招き、公式運転でわずかな転舵において大傾斜を生じ、復原性不良のため、すぐさま性能改善工事を行うことになりました。このため、 3番艦「若葉」以降の艦は竣工前に改善工事を実施し、実際に原計画に基づいて建造されたのは、1番艦の「初春」と2番艦の「子日」のみとなります。なお、この2艦も改善工事を実施しました。

<キットについて>
初春型駆逐艦の 1/700プラキットは、スカイウェーブシリーズ(SW)のピットロードとウォーターラインシリーズ(WL)のアオシマから発売されています。

SWキットはシリーズでおなじみの力強い詳細なモールドで仕上がっており、好感が持てます。一方、WLのキットは1971年にシリーズ32で1番艦「初春」が、1972年に40で4番艦「初霜」、56で5番艦「有明」、61で2番艦「子日」が発売されました。その後、フジミのシリーズ脱退に伴い、1992より「初春」が418 、「初霜」が420 、「有明」が422 、「子日」が424 と改訂されて発売されていました。このキットは武装パーツの形状不良と全体のディティールが大味なため、一般的評価を悪くしていたものと思います。このキットが2011年に至り、ついにリニューアルされました。モールドは繊細で力強いものに生まれ変わり、しかも、竣工当時の強武装艦の姿が2010年に先行発売されています。

今回はWLのアオシマ製新キットのうち、竣工時の強武装の姿を建造しました。シリーズ内の駆逐艦では最新のキットであり、安心して製作できる製品です。但し、モールドは以前までのキットと異なっており、多少強味でメリハリがありますので、個々人によって好みが分かれる製品かもしれません。

<作例について>
今回の作例ではSD版キットを使っていますが、同封のエッチングは我が作品の統一感を損ねるため、ほとんど使用しませんでした。従って、2011年 5月に発売された通常版のWL 455を購入すれば良かったと後悔した次第です。製品は先ずエッチング付きのSD版が先行発売し、その後通常版が発売するスタイルだったためにSD版を購入してしまった訳ですが、購入時に強武装タイプの通常版が販売されると思わなかったのでした。

作例はほとんど素組みですが、以下の追加工作を行っています。
  • 0.5oプラ角棒により、伝声菅を再現しています。
船体や上部構造物は、我が造船所の駆逐艦色である舞鶴工廠グレーで塗装しました。そのほか、リノリウム色などすべて GSIクレオスの Mr.カラーを使用しています。

<建造について>
建造工程については、下記のアイコンをクリックしてください。 ↓

    
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