駆逐艦 島風 旧日本海軍
 島風型一等駆逐艦
掲載:2015年03月22日
修正:2015年03月28日
  島風(しまかぜ)1943 <タミヤ製>
↑左舷前方からの写真
(画像はクリックすると大きくなります。)
↑右舷後方からの写真
(画像はクリックすると大きくなります。)
<使用キット>
  • ウォーターラインシリーズ 409
    日本駆逐艦「島風」

    1/700 タミヤ 1973年発売

<実艦について>
第一次世界大戦後のアメリカ新型戦艦の速力向上はめざましく、最新型のアイオワ級戦艦では30ノットを超える情報がもたらされていた1938年、旧日本海軍軍令部は40ノットを超える高速駆逐艦の建造を要求しました。

こうして第4次軍備補充計画(C計画)に高速駆逐艦の試作艦建造が盛り込まれました。この艦は峯風型4番艦「島風」が40.7ノットを記録したことにあやかり「島風(二代目)」と命名されました。このため、1940年4月1日付けで峯風型「島風(初代)」は哨戒艇に降格し「第1号哨戒艇」に改称されています。

もともと旧日本海軍の大正期に建造された駆逐艦は39ノット前後の高速を維持していましたが、特型駆逐艦以降の艦隊型駆逐艦は強武装による重量増加を船体重量の削減でカバーしていました。船体の軽量化を推し進めた結果、強度不足が露呈、強武装による復元性能悪化と相まって、海軍艦艇の大問題となりました。この対策の結果、船体強度および復元性能は安定したものとなり、戦闘艦艇としての運用には支障ないレベルになりましたが、反対に船体重量は増加し、特型駆逐艦以降の駆逐艦の速力は最新の夕雲型に至っても35ノット留まりだったのです。この打開策として試作された「島風」は1941年8月に舞鶴海軍工廠で起工され、1943年5月に竣工。陽炎型9番艦「天津風」で試作搭載された高温高圧缶の機関を搭載し、75,850馬力により40.9ノットを記録しました。

「島風(二代)」の初陣は1943年7月のキスカ島撤退作戦。その後にレイテ沖海戦に参加し、最後はレイテ島オルモック湾への輸送作戦で第2水雷戦隊旗艦として「浜波」、「長波」、「若月」とともに5隻の輸送船の護衛を実施。347機の敵機の攻撃を受け、3時間の対空戦闘の末に沈没しました。船団は壊滅し、護衛の「長波」および「若月」も沈没しています。

(参考:キット説明書)

<キットについて>
1/700丙型駆逐艦「島風」のインジェクションキットは、長い間ウォーターラインシリーズ(WL)のタミヤより、1973年に発売された本キットのみが存在していましたが、2015年に至りスカイウェーブシリーズ(SW)のピットロードからも発売されました。

WLキットは発売当初、シリーズ駆逐艦の中でも成形がシャープで繊細なモールドと相まって、一般的な評価は高いキットでした。ただし、同型艦のない本艦の開発費回収のため、艦底パーツをダイキャスト製として付加価値を持たせ、発売価格を高めに設定したところ、多くのモデラーからの評価は負のものとなってしまいました。このキットは現在までリニューアルされず、現役として頑張っています。

一方、SWキットは昨今人気の“艦これ”ゲームの影響を受けて開発されたものと推察されますが、SWの旧日本駆逐艦では唯一の海外製キットで、2015年に発売された新製品です。最近の成形技術による繊細で詳細なモールドとスライド金型の多用によるブロック成形と側面モールドも省略なしで構成されたパーツで成り立っています。

今回は古参キットで価格も安いWLのキットを選択。しかも2003年に製作したものを改装し、コレクションとして並べる程度にディティールアップしてみました。

外箱イラストは、シリーズで有名な“上田毅八郎氏”によるもの。現在でも絶大な人気を誇るパッケージイラストの画家ですが、近年では高齢により第一線での仕事を引退されています。本キットのイラストは、レイテ沖海戦に出撃途中の戦艦「武蔵」、旗艦の重巡「愛宕」を護衛する駆逐艦「島風」を描いています。

<作例について>
 「島風」のキットは最終時仕様ですが、これを竣工当時として以下の追加工作を行いました。
  • キットにはきちんと舷外消磁電路が再現されていますが、コレクション性を重視して0.25×0.5oのプラ角棒に変更し、合わせて艦尾部分の形状を一部修正しています。
  • 12.7cm連装砲は、キットパーツのものをピットロード(PT)の艦船装備セットに変更しています。また、砲塔側面に強度補強フレームを伸ばしランナーにて再現しました。
  • 零式5連装魚雷発射管は、本体盾部分をキットパーツとし、前後の部分をピットロードの艦船装備セットより調達しています。また、盾の天蓋手すり部分を伸ばしランナーにて再現しました。
  • 艦橋天蓋の66cm測距儀ブルワークをプラ板にて再現。94式方位盤はPTの艦船装備セットのものに変更し、その上部の3m測距儀はプラ棒にて製作しました。
  • 船体上部リノリウム甲板の押さえモールドがないため、伸ばしランナーにて再現しています。
  • 船体後部探照燈台座および機銃座を撤去して、竣工当時の台座形状をプラ板にて再現しました。
  • 後部煙突脇の機銃座は形状修正し、ブルワークを削り落としました。
  • 艦尾の爆雷投射機と装填台はPTの艦船装備セットのものに変更しています。
  • 船体側面の窓は、キットではきちんと再生していましたが、最終時仕様では中段窓は埋める必要があり、この作業を行ってしまったため、改めて0.6o径ピンバイスにて再現しています。
  • 探照灯は90pのものをWLの大型艦艇用武装パーツより調達、方位測定器はPTの艦船装備セットのものを使用しています。
  • 艦尾旗竿をPTの艦船装備セットから調達。
  • 前後部マストは中間の補強材をプラ棒にて追加。
 船体や上部構造物は、2003年時には横須賀工廠グレーで塗装していましたが、我が造船所の駆逐艦指定色である舞鶴工廠グレーで再塗装しました。リノリウム色も含め、そのほかもすべてGSIクレオスのMr.カラーを使用しています。

<建造について>
 建造工程については、下記のアイコンよりお入りください。 ↓
 


     

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